『シャザム!~神々の怒り~』ネタバレ解説 アメコミ好きならニヤリとするシーンも

 またクレジットの途中でシャザムが、アマンダ・ウォラー(スーサイド・スクワッドの影ボス)の差し金でジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカに勧誘されるシーンがあります。ザッカリー・リーヴァイによると、もともとこれが『ブラックアダム』のおまけシーンとして考えられていたそうです。笑えるシーンですが、ここもちょっと僕は嬉しくなったんですね。

 というのもアマンダ・ウォラーは、ジェームズ・ガンらが考えている、今後のDC映画・ドラマ戦略<DCユニバース>の重要人物として残っていきそうです。そのアマンダ・ウォーラーとシャザムの接点があるということは、シャザムも今後のDCユニバースに登場するのではないかと思います。

 先ほどシャザムとはヒーロー名ではなく呪文のことだと言いましたが、ようやく本作でヒーローとしての名前もシャザムであると定義されます。

 最後にこのヒーロー名についてトリビアを。劇中、ある年配の男性が、ヒーロー姿で活躍しているビリーのことを「(あんたの名前は)キャプテン・マーベルだね」と言うシーンがあります。ここはすごくアメコミ好きならニヤリとすると思います。

 というのも、もともとこのシャザムは1939年にフォーセット・コミックスという出版社から『キャプテン・マーベル』というタイトルで発刊されました。映画の中でビリーたちが通う学校がフォーセット高校というのはここに由来します。『キャプテン・マーベル』のコミックは大人気で、1941年にはもう映画化。世界初の実写スーパーヒーロー映画となりました。けれどDCから『スーパーマン』のパクリだと訴えられ、廃刊に近いところまでおいこまれます。

 結果DCが1970年代ごろこのキャラの版権を得て復活させようとします。ところが1960年代ごろから頭角を現してきたマーベルが、商品化においてマーベルという商標を押さえていたため、DCは “キャプテン・マーベル”という言葉をあまり表立って使わないようにしました。なのでコミック誌のタイトルを『シャザム!』にしたのです。ただこの頃はコミックのタイトルこそ『シャザム!』だけど、物語の中身においては“キャプテン・マーベル”という名称を使っていました。しかし2011年に始まったDCコミックの一大リニューアルプロジェクト“NEW52”において、タイトルもヒーロー名も“シャザム”に変更(というか統一されたのです)。だから長い間、シャザムはキャプテン・マーベルとも呼ばれていたのですね。

 さらにこの年配の男性を演じていたのはミシェル・グレイといって1974年の実写TVドラマ版『シャザム!』でビリー・バットソン役を演じていました。このドラマの中では、ヒーロー名としては、まだ“キャプテン・マーベル”が使われていたんです。一連のシーンはそういった大人の事情が凝縮されたカメオ出演シーンでした。

■公開情報
『シャザム!~神々の怒り~』
全国公開中
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
出演:ザッカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、ジャイモン・フンスー、レイチェル・ゼグラー、ルーシー・リュー、ヘレン・ミレン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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