『舞いあがれ!』“拾われた男”になれなかった松尾諭 信頼を得るためにトライし続ける姿勢
当たって砕けろの精神で決意していたのは舞だけではなかった。カフェ「ノーサイド」カウンター前の指定席で、佳晴(松尾諭)はマスターの津田(たくませいこ)に結婚を切り出す。津田の反応は「あんた本気で言ってんの?」。決死のタックルを止められた佳晴は、一瞬うつむき、「いや、その、ほら、津田さんみたいにしっかりした人と一緒になったら、久留美も安心やん。老後も安泰やから」。最悪である。ごまかすように笑ったのも良くなかった。
「アホ。誰があんたの家政婦になんねん!」
拾われた男になれなかった佳晴。間の悪さと伝え方の下手さは、久留美(山下美月)と八神(中川大輔)の婚約破談時に実証済みである。信用は何年もかけてやっと手に入るものなのに、よりによってあの時と同じ場所、他の客がいる前で店主にプロポーズするわきまえのなさは、この人何も学んでないなと思わせる。逆に言うと何も考えていない分、素直ではあるのだろう。朝ドラに不可欠なダメ親父の役割を担ってきた佳晴は、一度くらいの失敗でトライを諦めるような人間じゃないと信じたい。私たちが佳晴を好きになるまで、たぶんあともう少しだ。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK