草彅剛が語る、6年ぶり民放連ドラ主演『罠の戦争』の手応え 「この役に巡り合えて幸せ」

「鷲津亨を演じるために、毎日自分と戦ってる」

――ストーリーが進むごとに複雑な心境が描かれていきますが、草彅さんは演じながら鷲津亨というキャラクターについてどのように感じていますか?

草彅:面白いよ、すごく。どんどん面白くなってきてる。最初はね、正直これまでの“戦争シリーズ”で演じてきた役柄に比べて普通の人だったから“ちょっとパンチねーな”みたいに思ってたんだけど。なんかそのパンチのなさが、むしろいいみたいな! うん、じわじわ来る感じがある。それに、今の僕にとっても非常に合ってるんじゃないかなと思って。なんか、いいタイミングでいい役をいただいたなって思ってます。

――どこまで見透かして行動しているのか、ハラハラさせられます。

草彅:そう! 亨ちゃんは頭いいしさ、 冷静陳着なんだけど、ちょっと人間っぽいところもあるんだよね。 そういうところがすごく演じがいのある役だなって。今、最終回のシーンを撮っていて、あと少しで終わるとなると寂しい気持ち。 でも、最後までいろんな可能性があるのでね。役って、なんか自分との勝負っていうか。自分と戦う感じがあって……って、なんかカッコいいね(笑)。これだけ見たら役者みたいだよね。「鷲津亨を演じるために、毎日自分と戦ってる」……いいね、これ使ってくださいよ!!

――使わせていただきます(笑)。それから普段、草彅さんはあまり怒りを出すタイプではないように感じているのですが、第1話の林檎を握りつぶすようなシーンはどのように演じていらっしゃったんですか?

草彅:たしかに、普段は本当に声を荒げることはないですね。だからドラマの世界の中だけの瞬発力というか、一気にマグマを爆発させるっていうか……。もちろんいろんな方法があるんだけどね。そのときのストーリーからそういう気持ちを盛り上げていくとか、もともと自分の中にある怒りを持ってくるとか。でも、怒りの種類もいっぱいあるじゃないですか。だから、なんか自分でもわかってないんですよね(笑)。ただ、わかってなくてやってるのが、むしろいいっていうか。だって、怒ってる人って大体“怒ろう!”と思って怒ってないからさ。そのへんはあやふやでいいかなって。むしろ、それがこの役の魅力だと思っていて。事件に巻き込まれていく役なんでね。なんか林檎を握りつぶしてるうちに、どんどんどんどん「うぉー!」ってなってくるし。だから、うまく僕ははめられてますよ、このドラマの罠に!

――鷲津亨のように巻き込まれてる、と!

草彅:そう! この役は、本当にやってみないとわかんないところが多くて。そこはやっぱりチームとして初めてじゃないから。 すごく広い心で受け入れてもらってるなって思ってます。そこらへんはほんとに信頼関係があると思うので。

「人生をかけて頑張る、いや楽しむ!」

――では、結構テイクを重ねるシーンも?

草彅:そういうときもありますね。あの林檎のシーンなんてさ、最終的には結構リアルに握りつぶせたけど、1発目は握った瞬間にパーンって粉砕しちゃって! 笑っちゃったよ。あれ、握りつぶしやすいように美術さんが中にヒビを入れてくれてるんですよ。でも、一つひとつ個体差があるから、やってみないとわからないの。で、最初の林檎はヒビを入れすぎてたのか、パーンッて(笑)。「鷲津、お前の握力100以上あるじゃねーか!」みたいになっちゃって。あれ、DVDのメイキングかなんかで使ってほしい! 本当すごいんだよ、粉砕の仕方が。超人ハルクになったのかと思った!

――それはぜひ特典映像化、楽しみにしています! でも、振り返ってみたら液体をかぶったり、お酒をかけられたりと、激しい場面が多いですよね。

草彅:そうだね。政治の世界が舞台だから表立って大きな動きがない分、そういう演出が生きてくるのかもしれない。でも、みんなそういうのを楽しんでいるところがあってさ。2話かな? 僕が虻川役の田口(浩正)さんに掴まれて、その腕を掴み返すシーンがあったと思うんだけど。あのとき「思いっきりやって大丈夫ですか? もしアレなら手加減しますけど……」って聞いたの。そしたら、田口さんも「大丈夫。もう思いっきりやってくれ!」って言ってくれて。だから、本番で思いっきりやったんだけど、そしたらセリフにない「い、痛い」って声が出てて。それ聞いた瞬間、笑いそうになっちゃって。そりゃ、林檎潰すほどの握力で握られたら痛いよなって(笑)。

――たしかに(笑)。

草彅:本番後にも、ぼそっと「痛かったよ」って言われたけど、「いやいや田口さんがやっていいって言ったから、思い切りやったんですよ」って(笑)。でも、シーンになると力が出るのかわからないけど、もしかしたら僕、本当に力があるのかもしれない。走るのも、実際はあんまり得意じゃないんだけど、シーンになると早く走れる気がするんだよね。これが本番の力なのかも!

――『グータンヌーボ2スペシャル』(カンテレ・フジテレビ系/1月9日放送)にゲスト出演された際に明かされた、杉野遥亮さんとの天然なやりとりがとてもおもしろかったのですが、その後はいかがですか?

草彅:杉野くんね、すごく可愛らしくて愛おしいですよ。すごい真面目で、役に関してもめちゃくちゃ考えてて。 なのに、なんか眠そうな顔してたときもあったりして。面白いんだよね。すごい不思議な魅力があるから、ちょっとかまいたくなるな(笑)。すごく背も高くて大きいから、そばにいると抱きつきたくなるんだよ。『嘘の戦争』でも出てくれてたんだけど、一緒のシーンはなかったから。今回仲良くなれたんじゃないかなって思ってて。すごく好きになっちゃった。

――ぜひまた違う作品でも共演してほしいです。

草彅:本当に! また違うシリーズとか始まってくれたらいいな。チームも、杉野くんも、また一緒にやれたら嬉しいですよね。

――最後までどうなるのか全く読めないのですが、最終話の台本を読んで草彅さんはどんな感情になりましたか?

草彅:僕も本当に“最後どうなんの?”って興味津々だったんだけど「こうきたか!」と。“あー、素晴らしいな”と思って。もう、脚本の後藤法子さんには僕から脚本賞ですよ、もう。後藤さん、素晴らしい! 本当にいい本書いてくれて。僕は、この役に巡り合えて幸せですよ。大げさじゃなくて。だから最後まで、いかに魅力的に鷲津亨を演じられるかっていうのが、僕の人生のテーマなので。うん、僕の人生をかけて頑張りますよ。いや、頑張るっていうか、楽しむ!

――本当に、作品に出演されるたびに傑作が生まれますよね。

草彅:本当にそうなんだよね。なんなんだろうね。きっと僕は運がいいのかもしれない。その都度その都度いい役なので。本当にいい出会いがあって、幸せだなって思ってるんで。逆に僕に関わった方みんなにもそう思ってもらいたいし。だから、ラストまで真心を持ってできたらなって思っています。

――最後に、草彅さん的注目シーンはどこになりますか?

草彅:やっぱ10話の中盤から後半にかけてかな。ま、まだ今の段階では撮ってる最中だから、僕もどうなるかはわかってないんだけど、アハハハ! うん、でも僕の経験上、いいドラマって10話が好きなんだよね。そうなっていてほしいなって。ラストシーンとかきっといいシーンになると思うので、ぜひ期待していてほしいです!

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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