『警視庁アウトサイダー』最終話は意外な結末に 西島秀俊のストレートな言葉が染みる

 同じ頃、刑事として、また娘として父親で警視庁副総監の有働と対峙し手錠をかけたのは、新米刑事・水木直央(上白石萌歌)だ。真実を知ってしまえば、何も知らずにぬくぬくと守られた環境の中で過ごせていたこれまでの自分にはもう戻れない。それでも一歩も引かずに水木は言う。「私は認めない。そこにどんな正義があっても犠牲になっていい人なんていない」と。有働の庇護下を離れ、大きな大きな壁を乗り越えていく水木の覚悟と、それでもどこかで父親の中にある良心を信じたいと願ってしまう娘の純粋な一面を、上白石萌歌は見事体現していた。

 あまりに残酷な真実にそれぞれが諦めず立ち向かえたのは、同じように各々の持ち場で逃げずに踏ん張るトリオの存在を肌で感じられたからだろう。ある時は背中を押し、ある時は“そっちに進んではいけない”とストッパーになる、そんな彼ら3人の絶妙なパワーバランスや関係性が頼もしい。

「俺にお前らがいてくれて良かったよ」

 架川の真っ直ぐな言葉はやっぱりやけに染みる。年齢も性別も様々で、全くバラバラの目的と正義とモチベーションを持った、たまたま集った3人。反発し合いながらもいつの間にかかけがえのないトリオになるまでの日々が観られたことは、彼らにとってだけでなく我々視聴者にも嬉しい大きな誤算だったのではないだろうか。

■配信情報
『警視庁アウトサイダー』
TELASA、TVerにて配信中
出演:西島秀俊、濱田岳、上白石萌歌、斎藤工、片岡愛之助ほか
原作:加藤実秋
脚本:髙橋泉
音楽:末廣健一郎
演出:木村ひさしほか
ゼネラルプロデューサー:服部宣之
プロデューサー:藤崎絵三、長谷川晴彦、山形亮介
制作協力:KADOKAWA
制作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日

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