『相棒』“善人”の味方であり続ける右京と亀山 『ヴェニスの商人』の一節が切なく響く
この同級生たちは、陽介の行方を自分たちで探していた。そして陽介の失踪には保科が大きく関わっていたのではないかと疑うようになっていた。保科に、隣のビルの防犯カメラの映像だと偽って、陽介に似た男が映った「呪いのビデオ」を見せたのは、そのビルに務めているという警備員。だがその正体は千明だった。演技の仕事をあまり上手くこなせず、悩んでいた千明だったが、友のことを思っての芝居はしっかりしていて、保科は見事に騙された。
また、終盤、真実を知った朋香は、藤枝に刃物をむける。同じく事件の真相を悟った千明は、尊敬する大先輩と親友に挟まれながら、とっさに気迫の籠った一芝居を打ってみせた。千明のような人は、そのいかつい外見と優しい性格のギャップを、他の人にいいように使われてしまうことがある。事件の真相がわからないうちは、千明が犯罪を犯すように誰かに脅されたり、意図せず何か事件を引き起こしてしまうのではとハラハラしていたが、今回は、千明の“人を大切に思う気持ち”が新たな事件を未然に防ぐことになった。
あまりにも悲しい真実と、一瞬でも自分の心に生まれた黒い気持ちに泣き崩れる千明に、右京は「あなたには芝居心も人の心も備わっています。立ち直ってくださいね」と穏やかに、亀山は「待ってるぞ」と力強く声をかけた。この言葉は、善人の顔をした悪人にたくさん出会ってきたふたりだからこそかけられる言葉だろう。「人はいつでも、見た目の美しさに、つい欺かれるもの」らしいが、右京と亀山はそんなものに惑わされない。いつでも善人の味方であろうとする姿に、こちらの背筋も伸びるような気がした。
■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
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