『相棒』“いつもと違う”姿を巧みに描いた秀逸回 仕事を果たすイタミンのカッコよさも

 そんなことを知らない伊丹たちは、竹村の自宅や利用していた訪問介護ステーション、彼の担当だった吉田という女の自宅を捜索。吉田というのが実は偽名で、本名は鈴木司(吉本菜穂子)で、ある児童養護施設の出身だということがわかる。ここで刑事・伊丹の勘が冴え渡る。その児童養護施設の施設長と竹村は親友で、匿名ということを条件に竹村から多額の寄付を受けていたのだ。昔の新聞記事を見せながらそのことを問いただす伊丹の姿はまさしく刑事そのもの。いつもは特命係、特に亀山に遊ばれている伊丹だが、伊達に数十年も第一線の捜一にいるわけではないのだ。スマートに事件を解決していく右京とは、スタイルこそ違えど、伊丹もしっかり仕事を果たす男なのだと改めて、そのカッコよさにグッときてしまった。山荘での謎とこの事件は繋がっているのだが、今回は、まるでふたつの事件が同時進行しているように描かれており、その物語の巧みさにワクワクが止まらなかった。

 さて、何も知らない亀山は「美和子が別の男が気になるみたいで」と結婚詐欺師にジャーナリスト魂を燃やしている美和子の姿にトンチンカンなことを考え、右京に愚痴をこぼしていた。しかし、真実を知れば、やはり熱い男。右京に追い詰められた真犯人が暴走して逃げようとすると、物陰に隠れていた美和子を守るヒーローのように飛び出し、しっかりと取り押さえた。推理をする右京、体を張る亀山。いつも通りの見事な“相棒”の連携に、胸がスカッとする思いだった。

■放送情報
『相棒 season21』
テレビ朝日系にて、毎週水曜21:00~21:54放送
出演:水谷豊、寺脇康文、森口瑤子、鈴木砂羽、川原和久、山中崇史、篠原ゆき子、山西惇、田中隆三、神保悟志、小野了、片桐竜次、杉本哲太、仲間由紀恵、石坂浩二ほか
エグゼクティブプロデューサー:桑田潔
チーフプロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真通
脚本:輿水泰弘ほか
監督:橋本一ほか
音楽:池頼広
制作:テレビ朝日、東映
©テレビ朝日・東映
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
公式Twitter:@AibouNow

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