『スタンドUPスタート』竜星涼がまたも名言を生む 野村周平と岡本玲に学ぶ“繋がり”の力

 自称“人間投資家”の三星大陽(竜星涼)は何も初めての起業だけを支援するわけではない。『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)第2話では、大陽が一度起業し失敗した者にも手を差し伸べ、再起させるまでが描かれた。

 イベント会社「エンジョイ・メーカーズ」の社長・東城充(野村周平)は一等地に立派なオフィスを構え、年商も20億を突破、ベンチャー企業界隈でその名を轟かせていた。しかし、知名度もステータスも手に入れるようになった途端、社員に対して、さらに創業時からの相棒だった副社長・福島あかね(岡本玲)にまで横柄な態度を取るようになる。これまでの功績は全て自分一人で築き上げたと言わんばかりの態度に、もちろん社員も愛想を尽かせ始める。遂には勝手に小会社「株式会社ファクシミリ」を作り、自身に歯向かう福島のことを本社から追い出してしまう。その傍若無人ぶりは観ているこちらが恥ずかしくなるほど。ただ、壮絶なパワハラ被害が週刊誌に取り上げられると、一気に東城帝国は傾き始める。そして今度は東城が自己破産し会社を追い出される羽目に。それでもなお、自身に非があることを認められず、現実を直視できない東城の現状を大陽は「あれもこれも自分でやってきたって思っちゃうヤバい病気、社長病」だと一蹴した。

 ただ、大陽はこの社長病に効く特効薬を知っていた。東城がやり直せるように、東城と一緒に手がけてきた仕事を守れるように、そして何よりいつか東城が戻って来られる場所を残しておきたいとする福島の想いに触れ、先手を打っていた。福島と共同代表で会社を立ち上げ、その会社名義で小会社「株式会社ファクシミリ」の株を購入しMBOを実施。小会社の事業は福島がそのまま引き継ぐことになった。自分が福島には大口案件から手を引かせるようにし、創業当時から取引がある地方の会社や町内会などの小口案件のみを押し付けていたくせに、自身が窮地に陥れば「この小口案件がないとやり直せない。俺を裏切って逃げ出す気か?」と都合のいいことを平気で口にする東城。この結果は自業自得だろう。

 無一文になった東城に、大陽はこの小口案件先への挨拶まわりを兼ねたドライブを提案。会う人会う人が福島に感謝し、彼女に免じて東城との過去を水に流して力になろうとする。東城は彼女のおかげで自分が生かされてきた事実をようやく思い出す。ここでも大陽の名言が光っていた。

「“社長病”ってやつの特効薬は自分の苦しみを誰よりもわかってくれる仲間だからね」

「功績っていうのは肩書きじゃない。誰かと歩いてきた道のことだよ」

  “社長病”を発症させていた頃の東城の姿は「繋がりなど必要ない。人は強いリーダーを求めている」と断言する大企業・三ツ星重工の社長・大海(小泉孝太郎)を彷彿させる。しかし、本作を2話まで観てきた限り、何事も“人と人の繋がり”こそが全てだと言っても過言ではないだろう。自分一人では踏み出せないあともう一歩も、諦めてしまいたくなる気持ちも折れそうな心も、もう一度立て直して奮起できたりするのは、自分以上に自分のことを信じてくれたり励ましてくれる誰かの存在だ。

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