杉野遥亮、小平太は「大事なところを持っていく人」 松本潤との初対面シーンの裏側を語る

杉野遥亮、初登場シーンの裏側を語る

 毎週日曜日に放送されているNHK大河ドラマ『どうする家康』第2回から登場した杉野遥亮のコメントが公開された。

 NHK大河ドラマ第63作目となる本作は、ひとりの弱き少年が、乱世を終わらせた奇跡と希望の物語。誰もが知る歴史上の有名人・徳川家康の生涯を新たな視点で描く。主人公・家康を松本潤が演じ、脚本を『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの古沢良太が担当する。

 杉野が演じるのは、後に徳川四天王の1人となる榊原康政(小平太)。初登場となった第2回では、登譽上人役の里見浩太朗との芝居が中心になった。杉野は里見について、「この言葉が適切かわかりませんが、『完璧な方だな』と思いました。すごい、かっこいいな、素敵だなと。僕が素敵だなと思う俳優さんは、みんなご自身のことに集中しているんです。里見さんも、この日ほぼ初収録だったのに、すごく役を作りこまれていて、『プロだなあ』と。このころ、僕はどうやって役を作っていけばいいのかすごく迷っていた時期だったので、今となってはすごくもったいないことしたなと。もう一回どこかで共演させていただけるチャンスがないかなあと思っています」と自身にも大きな影響を与えたことを明かした。

 里見からはアドバイスももらったそうで、「『時代劇はね、ゆっくりしゃべるんだよ』って言っていただきました。でも、本質がわかっていないから、その時はすぐにそうすることができなかったんです。あのシーンは、小平太が14歳のときだから、早口のほうが子供っぽくていいかな、とも思うんですけれど。もっと後になって、それこそ、四天王になったとき『このことだったのか』と思い出すかもしれません」と振り返った。

 第2回では、元康(松本潤)が自害しようとするところで、小平太が飄々と登場。このシーンについて、杉野は次のように振り返る。

「史実と異なるので意外でした! 史実では、上人様(登譽上人)が『厭離穢土欣求浄土』という言葉を家康に教えたと言われていますが、今回は、小平太にそういう役割を与えていただいて。やっているときはあまり深く考えていなかったのですが、あとあとになって、これは大きなことだったと思いました。後に、家康が旗印に掲げる言葉ですから。もちろん古沢さんの創作ですけれど、意外と、そういう大事なところを持っていく人だと思っています(笑)。(このシーンは)緊張しました。もともと、このシーンを一連で撮るとは思っていなかったんです。だから現場に来て『まさかの一連!?』って思いながら、障子の裏で、ずっと殿と平八郎の会話を聞いていました。途中で足、つるかと思いました(笑)。ただ、一連で撮ったからこそ、あの緊迫した場面に飛び込んでいく小平太のリアルな気持ちを感じられたかもしれません。でも、あの状況で突っ込んでいけるのが小平太というか、家臣団の中で、いちばん飄々としているのが小平太かなと。僕自身は、『いいな、小平太』って思っています」

 杉野は演じる上でのアプローチは「考えるだけ」と語る。

「『このセリフ、どういう気持ちで言うのかな?』と考え続ける感じです。その気持ちを、本番で出せればいいなと思っています。一般的に“役作り”と呼ばれるものは、あまりしません。あえて言葉にするなら『その人を知る』というのが近いかもしれません。いかに繊細なところまで、演じる役の感情を掘り下げられるか。その人の言葉や行動の一つ一つを、人間として立体的に表現していけるかと考えると、結局『想像する』とか『その人を知る』ということでしかないのかなと、僕は思っています。時代劇だと、所作や馬の稽古は当たり前にやることであって、“役作り”とはちょっと違う気がしています」

 「その人を知る」ために、セリフは重要な要素だと杉野は続ける。

「セリフは大きいです。あとは、日々の生活。あくまで“僕は”ですけれど、できるだけちゃんと生活したいんです。日常生活で嘘をついちゃうと、嘘をつくのに慣れて、感情が動かなくなっていく気がするんです。簡単に、逃げ道を作れてしまうというか。それが嫌だから、自分にも相手にも、嘘をつかないようにしています。そうすると、ぶつかることも、傷つくことも多いけれど、そのときの感情をストックしていく中で、知らない感情と出会えることもあるんです。そういうとき、むしろ『生きているな』って思います」

 また、時代劇に苦手意識があったという杉野だが、今は早くも他の時代劇にも挑戦したいと明かす。

「大河ドラマを経験してみて、別の時代劇にも出てみたいなって思いました。もともとは時代劇に苦手意識があったんですけれど、『どうする家康』をやってみて、『え、待って、面白い』『なるほど、こういう風にやっていけばいいのか』と感じる場面が多くて。今や『ここで培ったものを、どこかアウトプットできる場がほしいな』と思ったりしていますね。……でも、時代劇って背負うものが重いから、やっぱり撮影期間は短いものがいいですね(笑)」

 最後に視聴者に向けて、「人が何に触れたとき、どう心が動くのか。どういったことに心を奪われるのか?といったことが、この大河ドラマを通して伝わっていけばいいなと思うし、伝わると思っています。あとは、榊原康政という人をたくさんの人に知ってほしいっていう気持ちが強いです。僕自身、康政のことをあまり知らなかったですから。これまで、徳川四天王の中で康政がちゃんと描かれることって、あまりなかったと感じているんです。でも、演じていて――それは古沢さんの脚本だからかもしれないけれど――いいなあって思うんです、康政。すごく人間らしいな、生きてるな、と。康政のことをもっとたくさんの方に知ってもらうためにも、僕が頑張らないと!と思っています」とメッセージを送った。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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