『狼 ラストスタントマン』主演・南翔太が語る、世界初スタントの裏側と俳優業への思い

『狼 ラストスタントマン』南翔太が語る

社長もミュージシャンも俳優の延長線上

ーー映画界のお話で言うと、南さんはどのような経緯で映画の制作会社を立ち上げることになったんですか?

南:コロナになった年、2020年に仲間と一緒に立ち上げました。それはやっぱりコロナの影響が大きくて。

ーー俳優としての仕事が減ってしまったと。

南:そうですね。コロナになって全部仕事がストップして、どうしようというときに、じゃあ自分たちで作ろうと。僕が会社の代表をやるので、その中で映画を作りましょうということで、去年1本、今年1本作りました。でも実際にやってみたら、やっぱりめちゃくちゃ難しくて。

ーー具体的にどのようなところが?

南:会社を立ち上げた当時はコロナの関係で、急にロケができなくなってしまったりということもあって……。撮影などの制作面に関してはある程度やりやすくはなってきましたが、特に難しいと感じるのは配給ですね。最初は信用も実績もないので当たり前と言えば当たり前なんですけど、飛び込みで行くとなかなか話を聞いてくれない映画館も結構あって。そんな中で、きちんと話を聞いてくださったり、「1回かけてみよう」と言ってくださったりする映画館があるので、なんとかできているところではありますが、実感としてはやっぱり厳しいですよね。コロナで映画館離れしてしまったお客さんもいる中で、どこで自分たちの映画をかけるか、そしてどれだけお客さんを呼べるか。それが大きな課題だなと感じています。

ーー確かに、シネコンでかかるような映画には大ヒット作も生まれていますが、自主制作の映画などは特に厳しくなっている印象はありますね。そういう厳しい状況の中で、俳優と制作会社の社長を兼任するのはより大変な気もするのですが……。

南:俳優と制作会社に加えて、バンド活動もやっているんですが、僕自身、いろいろ手を出したくなっちゃうタイプなんですよね(笑)。でも「二足のわらじ」みたいな考え方はしないようにしていて。全部“役”として捉えちゃうんですよ。

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ーーというと?

南:“社長の役”や“ミュージシャンの役”みたいに、一つの役として演じるイメージです。いろいろやりつつも、やっぱり活動の基盤は俳優業なので、俳優としてそれぞれの役割を担っているという方向に頭を持っていくと、こんがらがることなく、切り替えてできるんです。もちろん実際にちゃんとできているのかは周りの方の判断になるとは思いますが、僕自身はそんなに負担がなく、ただ俳優をやっている延長線上という感覚なんですよね。

ーー俳優業がベースにあるのがポイントだと。

南:それは間違いなくそうですね。僕はわりとデビューが遅くて、21のときに初めて舞台に立っているので、来年俳優業20年を迎えるんです。これだけ長くやり続けてこられたのは、やっぱり一緒にお仕事をしてくださった皆さん、応援してくださる皆さんがいてくれたおかげで。そういう方がいないと成り立たない仕事ですし、今回も昌志さんとの縁でこういう素晴らしい作品に携わることができたので、これからもそういう繋がりは大事にしていきたいなと思います。

ーー俳優業で具体的にやりたいこと、夢や目標はありますか?

南:やりたいことはいっぱいあります。すごくわかりやすいところで言うと、大河ドラマや朝ドラには出てみたいですし、映画で言うと賞レースで評価されたい、みたいなことはやっぱり思います。あと、この前テレビでやっていた松田優作さんに関する特集(NHK『アナザーストーリーズ「松田優作“ブラック・レイン”に刻んだ命」』)を観て、衝撃を受けたんです。松田優作さんは『ブラック・レイン』の撮影当時、末期がんを患っていて、自分の命を取るか、作品に出ることを取るかの選択を迫られていたと。結局『ブラック・レイン』に出ることを選んで、映画公開の1カ月後に亡くなってしまわれた。その番組を観たときに、自分はそこまで作品に命をかけたことがあるのかと自問自答しました。それこそ、この作品での昌志さんもそうですが、やっぱり自分が出演した作品を振り返って、本当に命をかけて挑んだのかということを考えると、もっと頑張れたなと思うこともあるんです。なので、そう思える作品に出会うこと、そういう作品を作ることは、自分の中で大きなビジョンとして持ち続けていたいなと思います。

■公開情報
『狼 ラストスタントマン』
新宿武蔵野館ほかにて公開中
出演:南翔太、髙橋昌志、石田卓也、池上季実子(友情出演)、粟野如月、藤澤志帆、丸りおな、倉田昭二、安田龍生、石黒賢
監督・脚本:六車俊治
プロデューサー:髙橋昌志、六車俊治
音楽:谷地村啓
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
製作:「狼 ラストスタントマン」製作委員会(シールズ/六歌仙フィルムス)
2022/カラー/日本/86分/ビスタサイズ/G
©2022「狼 ラストスタントマン」製作委員会
公式サイト:lonewolf-movie.com
公式Twitter:@wolf_laststunt

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