『チェンソーマン』マキマの怪しさが色濃いものに 新生特異4課メンバーの解説も

 ついに、最終話に向かってラストバトルが始まった。『チェンソーマン』第11話「作戦開始」では、“超インテリ作戦”を通して岸辺に鍛えてもらったデンジとパワー、そして未来の悪魔と契約したアキが新たな4課のメンバーと共にサムライソードと沢渡アカネを倒しに行く。

『チェンソーマン』第11話「作戦開始」予告&先行カット公開 早川アキのキャラPVも

テレビ東京系ほかにて放送中のTVアニメ『チェンソーマン』第11話の予告映像と先行カットが公開された。  『少年ジャンプ+』…

 今回特筆すべきは、やはり新しい悪魔と魔人が紹介されたこと。1話の中に、おそらく今まで出てきた数を超えるキャラクターが登場していた。アキの契約した「未来の悪魔」は、原作者の藤本タツキ曰く“案山子(かかし)”をビジュアルのテーマにしたそう。そのため、彼に足はなく、アキが腹から頭を出す時に藁のようなものが少し落ちている。案山子とは周知の通り、田んぼの作物を鳥や獣から守るために立てられるもの。まるで人間がそこにいると見せかけることで、動物たちを安易に近づかせないようにする機能を持つ。しかし、民間習俗においては田の神の依り代、山の神の権現とも考えられていたそうだ。『古事記』にも、久延毘古(くえびこ)という名の神であり、知恵者だったと記されている。そして“未来が見える案山子”と言えば、伊坂幸太郎のデビュー作『オーデュボンの祈り』にも未来が見えて人の言葉が話せる案山子が登場する。

 お披露目された新生特異4課も人外揃いだ。思い出しておきたいのが、『チェンソーマン』に登場する悪魔はみな、人がその存在に対して持つ恐怖心の大きさで力が変わってくる。第1話でデンジがトマトの悪魔を倒していたが、それはこの世に一定数トマトが嫌いな人が多いから。コウモリ、なまこ、ヒル、狐、血、幽霊、永遠、呪い、刀、蛇……。それぞれが忌み嫌われていたり、恐れられていたり、畏怖の思いを抱かれている存在である。

 サメの魔人のサメは、チェンソーの悪魔が1974年の映画『悪魔のいけにえ』で多くの人にその恐怖が植え付けられたように、1975年の映画『JAWS/ジョーズ』で世間的にサメに対する恐怖心は強まって、それが今日まで続いているように思える。もちろん、それ以前からチェンソーもサメも危ない対象として認識はされていただろうが、大衆心理に“恐怖”を与えるきっかけとして映画は想像以上の力を持つ。実際、12月18日のBBCラジオインタビューに出演したスティーヴン・スピルバーグ監督は『ジョーズ』の公開をきっかけに鮫の乱獲が起こり、全体でかなりの生息数が減ってしまったことについて「本当に後悔している」と気持ちを吐露していた。『ジョーズ』の原作者であるピーター・ベンチリーも、同様の理由でのちにサメの保護活動家になっている。

 蜘蛛の悪魔も、筆者は蜘蛛が怖いので、その強さが理解できる。虫系はやはり一定数悪魔として存在するだろうし、その力も侮れない。実際ヒルの悪魔がかなり強かったのは、“吸血”という行為に人を殺すイメージがあるからだろう。

 そして暴力の魔人。“暴力”は血の魔人とおなじくらい、人々がストレートに恐怖を抱く対象だ。つまり、そういうわかりやすいものほど、多くの人に共通認識として恐れられているため、強い。実際、魔人になると悪魔の頃よりもパワーが減るのだが、彼に関してはあまりにも強いため、毒の出る仮面をつけられていることにも納得がいく。

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