寛一郎は“父”の無念をどんな形で晴らすのか 『鎌倉殿の13人』公暁役への高鳴る期待

 源実朝(柿澤勇人)は、わずか12歳で3代鎌倉殿になって以来、自分の未熟さゆえに大切な人を目の前で失うような、苦しい経験をしてきた。こんな状況をどうにかして変えたい、どうすれば自分の政をできるのか考え、やっと導き出した揺るぎない覚悟。それは、後鳥羽上皇(尾上松也)を後ろ盾にし、京から養子を迎えて家督を譲り、自身が大御所として支えるというものだった。

 『鎌倉殿の13人』(NHK総合)第43回「資格と死角」では、実朝の覚悟も知らず、このタイミングで、出家して6年の修行を終えた公暁(寛一郎)が鎌倉に帰ってくる。公暁は、2代鎌倉殿頼家(金子大地)の次男で、血筋を考えると4代目の将軍になってもおかしくはない。

 実際、実朝には嫡男が誕生しておらず、公暁は叔父である実朝の猶子となっている。予告では、公暁の後継人である乳母夫の三浦義村(山本耕史)が「鎌倉殿の後を継ぐのは若君のほかは、ございません」と言い、公暁が「立派な鎌倉殿になる所存です」と力強く答える場面があった。

 北条義時(小栗旬)も「鎌倉殿は源氏と北条の血を引く者が務めてきました。これからもそうあるべきです」と実朝に訴えており、波乱の展開を避けるわけにはいかないようだ。

 5歳のときに北条家の刺客に父を暗殺され、父や祖父との思い出がない公暁にしてみれば「鎌倉殿になる」という願いは、彼らの思いを継ぐという深い意味もある。その公暁の役を祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市という偉大な俳優を持つ寛一郎が演じることにも大いに注目したい。

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