横浜流星が前のめりで進む“役者道” 菅田将暉、吉沢亮ら主役級俳優たちとの違いとは

 さて、そんな“主役級”の俳優である横浜流星。ほかの若手俳優とどんな違いがあるのだろうか。世代的な近さでいうと、主演ドラマ『アトムの童』(TBS系)が放送中の山﨑賢人、『東京リベンジャーズ』(2021年)でまさに若手を率いてみせた北村匠海、あるいは『仮面ライダー』がキャリアの基点になっているという点においては、菅田将暉や吉沢亮などの存在が思い浮かぶ。もちろん、ここに名を挙げた者たちがすべてではないし、それぞれに異なる魅力があるのは言うまでもない。作品を背負うには、相当なプレッシャーと覚悟が必要であり、演じる役によっては、筆舌に尽くしがたい努力があるはずだろう。ここで横浜ならではの魅力を一つ述べてみるならば、『線は、僕を描く』の霜介とは対照的に非常に前のめりであるということだ。

『流浪の月』(c)2022「流浪の月」製作委員会

 例えば、いまではつねに新作が待ち望まれる存在となった藤井道人監督と早い段階でタッグを組んでいることや2018年公開の『青の帰り道』(2018年)に出演。その後、2021年には短編オムニバス『DIVOC-12』内の一編『名もなき一篇・アンナ』で主演を務めている。ドラマ『着飾る恋には理由があって』(2021年/TBS系)には自らプロデューサーに「いつかご一緒したいと思っているので、よろしくお願いします!」と告げていたことが出演に繋がったというエピソードがある。(※)さらに、未熟で暴力的な男性を演じたことでSNSのフォロワーが減り、「役者冥利に尽きる」と発言した『流浪の月』は、李相日監督のもとに直談判に行って役を勝ち取ったのだという。非常に強い意志を持って、俳優業に臨んでいるのだ。

『巌流島』

 このような前のめりな姿勢は、やはりほかとはちょっと違う。もちろん似たようなスタンスの俳優はいるのだろうが、横浜はそれが顕著である。彼には彼の進む、“役者道”があるらしい。将来的には山田孝之のように、自ら企画・製作を務める存在にだってなり得る26歳。2023年には、主演として藤井監督との本格タッグとなる『ヴィレッジ』や、佐藤浩市とのダブル主演作『春に散る』の公開も控えているし、公演中止となっていた主演舞台『巌流島』も上演される。ますます目が離せない存在となりそうだ。

参考

※ https://realsound.jp/movie/2021/04/post-744907.html

■公開情報
映画『線は、僕を描く』
全国公開中
出演:横浜流星、清原果耶、細田佳央太、河合優実、矢島健一、夙川アトム、井上想良、富田靖子、江口洋介、三浦友和
原作:砥上裕將『線は、僕を描く』(講談社文庫)
監督:小泉徳宏
脚本:片岡翔、小泉徳宏
企画・プロデューサー:北島直明
音楽:横山克
配給:東宝
©︎砥上裕將/講談社 ©︎2022映画「線は、僕を描く」製作委員会
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