ありえない日本描写がクセになる 推しキャラを作って楽しむ『ブレット・トレイン』
キャラクターに魅力を持たせる巧さ
本作の最大の魅力は、やはり次々に登場するキャラクターの存在そのものだろう。というより、物語を進めるためにキャラクターが置かれているのではなく、物語をすでに持っているキャラクターたちが、それぞれ動くことで映画としてのストーリーが出来上がっている点が良い。レディバグのダルそうな話し方、ミカンのせっかちな話し方、レモンの「きかんしゃトーマス」に例えた語り、キムラの絶妙な日本語、プリンスの自信たっぷりな話し方など、話し方だけでそれぞれのキャラクター性がしっかり出ている。そこから性格や、列車に乗るまでの背景を知っていくうちに推しキャラが出てくることは間違いなし。そして、本作が本格的なアクション映画であり、割と死人が出る映画であることも忘れてはいけない。「自分の推しキャラが最後まで生き残れるか」というハラハラ感や、逆に誰が死ぬかを予測することも一興。劇場では声を出せないからこそ、配信で観ることで誰かと一緒に声に出して盛り上がれるのも楽しい。
実況中継的な魅力がある中で、特に最初は小汚くてあんまり強くなさそうだったレディバグが、時間経過とアクションの回数を増していくにつれて、どんどん我々の知る“カッコいい”ブラピになっていく演出も面白い。彼の前に立ちはだかる刺客のウルフ(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)も、ミカン&レモンの背景も、一本の映画が撮れそうなくらい興味深い過去を持っているキャラがゴロゴロ登場するのがズルい。しかも、豪華な俳優が友情出演的なカメオでサラッと出てくるのもニクい。“なんちゃってジャパン”もそうだが、ある意味ネタとして笑える部分もたくさんあって、圧倒的に万人受けする観やすい映画なのに、「カルマ」や「運命」という普遍的なものをテーマとして扱っているストーリーが実は深い。
今まで自分に起きたことが、今の状況に自分を導く。逆に、その運命に自ら抗うこと。この映画で死ぬキャラクターたちはみんな、自分が相手を殺そうとした武器によって命を落としているのも「因果応報」というテーマに通じている。アクションシーンの見応えはもちろんのこと、そういったメッセージ性が物語の伏線にうまく絡み合い、魅力的なキャラクターがヘンテコな日本でバチバチに闘い合う。まさに、本作は観終わった後に爽快感が感じられる、エンタメ映画としてフルパッケージな作品だ。
■リリース情報
『ブレット・トレイン』
デジタルプレミア配信中!
※各種配信サービスにて視聴可能
今すぐ視聴するならこちら!
12月7日(水)よりブルーレイ&DVD発売、レンタル開始
金額:4K ULTRA HD & ブルーレイセット 7,480円(税込)
ブルーレイ&DVDセット 5,280円(税込)
発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、ベニート・A・マルティネス・オカシオ ほか
監督・製作:デヴィッド・リーチ
製作:ケリー・マコーミック、アントワーン・フークア
脚本:ザック・オルケウィッツ
原作:伊坂幸太郎『マリアビートル』
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公式サイト:https://www.bullettrain-movie.jp/