『一橋桐子の犯罪日記』が描く“繋がる”ことの幸せ 『万引き家族』と重なる疑似家族

 その一連の流れはどこか是枝裕和監督の映画『万引き家族』を思わせる。同作では、足りない生活費を万引きなどの犯罪で補いながら、都会の片隅でひっそりと暮らす一家の姿が描かれた。それは自己責任論という言葉がまかり通る社会で生きるためだったが、その切実な思いは伝わらない。行為だけが切り取られ、世間の批判の槍玉に上がってしまうところが似ている。

 そして彼らと同じように、桐子たちも血の繋がらない、寄せ集めの“疑似家族”ともいえる。久遠は雪菜にたまにしか面会できない娘の姿を重ね、桐子もまた家族のような親友を失い、ぽっかりと空いた心の隙間を雪菜に埋めてもらっていた。雪菜は亡くなった母親の面影を桐子の中に見つけようとしているような気がするし、寺田だって桐子たちに頼られるのが心底嬉しそうだ。

 彼らが本当に求めているであろう“人との繋がり”は、桐子のムショ活によって生まれた。少々後ろ向きだけれど、桐子が秘めている力は周囲に幸せをもたらしてくれる。三笠(草刈正雄)が語るように、人知れぬ罪悪感を抱えていた知子(由紀さおり)もそんな桐子に救われていたのだろう。だから、誰もが桐子に幸せになってほしいと願わずにはいられない。次週はついに最終回。ラストはみんな願いで塀の向こうではなく、娑婆で運命を切り開いていく桐子の姿が見たい。

■放送情報
土曜ドラマ『一橋桐子の犯罪日記』
NHK総合にて、毎週土曜22:00~22:49放送(全5話)
出演:松坂慶子、岩田剛典、長澤樹、片桐はいり、宇崎竜童、木村多江、由紀さおり、草刈正雄ほか
原作:原田ひ香『一橋桐子(76)の犯罪日記』
脚本:ふじきみつ彦
音楽:長谷川智樹
制作統括:高橋練(NHKエンタープライズ)、清水拓哉(NHK)
プロデューサー:宇佐川隆史(NHKエンタープライズ)
演出:笠浦友愛、黛りんたろう、加地源一郎
写真提供=NHK

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