『PUI PUI モルカー』は毛並みにも注目! 小野ハナ監督が語るコマ撮りアニメの奥深さ

『PUI PUI モルカー』は毛並みに注目

カートゥーン的な表情はつけない

――新シリーズで新しくモルカーを登場させるにあたって、キャラクターデザインでこだわった部分があれば教えてください。

小野:前シリーズで出てきたモルカーたちも既にたくさんのバリエーションがあったので、被らないようにということは第一にあったんですけど、その中で、キャラクターとしてちゃんと覚えてもらいやすい、個性が伝わるような模様にしようという意識はありました。ただ、見里さんから「モルカーのベースのカラーはできるだけ本物のモルモットの色から離れないほうがいい」というお話をいただいていたので、そことどうやって両立していこうか迷いましたね。だから、カラフルなデザインを施したモルカーもいるんですけど、そういう子たちには設定で、実はここで働いているんだよとか、こういうドライバーなんだよというエピソードを背景にセットしています。

――小野監督の中でお気に入りのモルカーはいますか?

小野:難しい質問ですね(笑)。箱推しなんですが、エピソードとしては私の経験から生まれた子が一台います。先のエピソードになるんですけど、その子は割と思い入れが強いかもしれないですね。

――小野監督は元々モルモットについて詳しかったのでしょうか?

小野:前シリーズに関わるまでは、モルモットをペットで飼えることすら知りませんでした。「見里さん飼ってらっしゃるんだ!」というところから始まって、そこから動物園に行って、モルモットのふれあい体験にも行ってみました。ただ、動物園のモルモットは、初対面になってしまう分、結構萎縮しちゃっているみたいで……。一番モルモットについて、学ぶ教科書になったのは、見里さんです。「リラックスしているとこういうふうに鳴くんですよ」とか「冷蔵庫が開く音に寄ってくるんですよ」とか、リラックスしているモルモットの生態は全て見里さんから教わりました。

――モルカーに取り入れたことや、反対にさせないようにしていることはありますか?

小野:カートゥーン的な表情はつけないようにとオーダーしていました。モルモットのいつも変わらない、何を考えているかわからない表情がかわいいというお話だったので、エンタメ作品ではありますけど、びっくりしてキョトンとなっている顔や、ワクワクしている表情、食べている表情をベースに、それ以外は広げすぎない範囲でやることによって、面白くなっているのかなと思います。

――モルカーの声も人間ではなく、実際のモルモットが演じていますよね。

小野:そうですね。つむぎさんと今回新たにパイムータンさんも加わりました。

――やはり声にも違いがあるんでしょうか?

小野:つむぎさんは割と艶っぽくて迫力のある声をしているんですけど、パイムータンさんは高いながらもハスキーボイスというか。ちょっと渋めだけど、かわいい声をしているなと思います。

――モルモットを飼っていない人間からすると、本当にプイプイ鳴くんだというのが衝撃でした。

小野:「本物だ!」ってなりますよね、わかります。私も動物園で見て「モルカーの声だ!」ってびっくりしました(笑)。

――モルカーは車にはなっていますが、モルモットに対してすごく誠実ですよね。動物番組だと、よく動物が「お腹がすいたなぁ」と喋ったりする演出もありますが……。

小野:そうですね。そこはしない方向でがんばってみました。あくまでもモルモットが主体なので、モルモットだったらこう考えるだろう、モルモットだったらここはびっくりしちゃうだろうなという組み立てで作りました。

――モルモットから見た人間は、本当にあんな感じかもしれませんね(笑)。

小野:ちょっと情報量を下げて、滑稽にしたくらいがモルモットからしたらリアルな気がします。いっぱい似たようなのがいるなと思っているかもしれないですよね(笑)。

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