『異世界おじさん』胸を鷲掴みするエルフの作画 再放送ではキャラの表情に要注目

 本作の面白さの一つでもあるテンポの良さも表情が影響している。基本的にはおじさんのツッコミどころ満載の言動が軸となって会話が繰り広げられるが、それらにたかふみや藤宮が盛大な顔芸とともにビシッとツッコむのが面白い。しかし、全てのボケに一つ一つ丁寧にツッコむわけではない。

 第4話で酔っぱらったおじさんをエルフが介抱して宿まで連れていくも、その後はロマンス的な展開が全くなかったことに対して、たかふみと藤宮は無言で冷めた表情を見せるだけ。あえて言葉を発さずに表情だけでツッコむシーンも散見され、ボケてツッコんでを畳みかけるのではなく、“表情だけの引きのツッコミ”がもたらせる緩急がテンポの良さを演出している。

 ちなみに、本作はただただキッチンや集合住宅の外観を見せるだけのシーンが多く、さらには椅子に腰掛けながら淡々と会話するシーンも珍しくない。ただ、エルフが可愛らしい表情を見せる描写や戦闘シーンなど、しっかり見せたい部分には力を注いでいるように感じる。気合を入れるべきシーンを明確にしているからこそ、ストーリーや登場人物に夢中になれるのだろう。

 第8話以降の放送が休止になってしまったことは大変残念ではあるが、これまでの放送を振り返りつつ、また気合の入ったシーンの数々が観られることを楽しみに待ちたい。

■放送情報
『異世界おじさん』
BS11、TOKYO MX、AT-X、テレビ愛知ほかにて放送中
原作、シナリオ監修:殆ど死んでいる
監督:河合滋樹
シリーズ構成、脚本:猪原健太
キャラクターデザイン、総作画監督:大田和寛
美術監督:高峯義人
音楽:末廣健一郎
アニメーションプロデューサー:吉川綱樹
アニメーション制作:Atelier Pontdar
声の出演:子安武人、 福山潤、小松未可子、戸松遥、悠木碧、ほか
©殆ど死んでいる・KADOKAWA刊/異世界おじさん製作委員会 (c)SEGA
公式サイト:https://isekaiojisan.com/
公式Twitter:@Isekai_Ojisan

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