『純愛ディソナンス』正樹を繊細に演じる中島裕翔の美しさ 髙橋優斗は吉川愛の心を見抜く

 第7話では、中島裕翔がどれだけ正樹の“美しさ”を真摯に演じていたのかが胸に刺さる。平気で嘘をつき自分さえも誤魔化しながら生きている正樹。しかし冴への思いだけはどうしても抑えきれない。愛菜美が言うように、2人には心の繋がりがあり、正樹はそのことに関しては自分の心に嘘を突き通せないのだ。根幹の部分では誰よりもピュアな正樹は傷つくことを恐れ、どれだけ嘘で塗り固めて過ごしても傷つき傷つけられてしまう。正樹のそんな美しさを、中島はただただ正面から体当たりで真摯に演じてくれるのだ。その想いの美しさに心が打たれる。

 複雑なストーリーと心のありように翻弄されてしまう『純愛ディソナンス』だが、中島裕翔の芝居に注目するとさらに深く作品を理解することができる。冴といる時にしか見せない正樹の柔らかい心を、中島は優しい表情やリラックスした口調で表現。それは愛菜美や賢治(光石研)といる時とは明らかに違う、緊張感から解き放たれた正樹の姿だ。そんな中島の繊細な芝居によって、視聴者は正樹という人物に寄り添えるようになっていく。愛菜美との喧嘩のシーンでは赤くなるほど強く頬を打たれた中島だが、身体をはった芝居でも凛々しい姿を見せてくれた。また冴を演じる吉川愛も正樹を支えることのできる強さが感じられる芝居で呼応する。真っ黒な心に打ち勝てるものは真っ白な心しかない。中島と吉川の姿は、そのことを強く想起させるのだ。

 愛菜美役の比嘉愛未の怪演に賢治役の光石研の残虐性など、俳優の力がこれでもかと集約された濃密な1時間。この先の正樹と冴の物語の中で「壁を乗り越える」ということの本当の意味を私たちは目の当たりにするのだろう。

■放送情報
木曜劇場『純愛ディソナンス』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:中島裕翔、吉川愛、比嘉愛未、高橋優斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、筧美和子、和田正人、畑芽育、藤原大祐、神保悟志、手塚とおる、眞島秀和、富田靖子、光石研、佐藤隆太ほか
脚本:玉田真也、大林利江子、倉光泰子、武井彩
演出:木村真人(共同テレビ)、土方政人(共同テレビ)、菊川誠(共同テレビ)
プロデューサー:森安彩(共同テレビ)、関本純一(共同テレビ)
編成企画:高野舞
主題歌:Hey! Say! JUMP「Fate or Destiny」
制作:フジテレビ
制作・著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/lovedisso_fuji/
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公式Instagram:lovedisso_fuji

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