『競争の番人』真飛聖にリベンジを誓う小池栄子 萩原みのりに差し伸べられた“赦し”
業界を変えるということは既存の文化や慣習を無視して180度覆すものではなく、守るべき伝統を守り、悪しき部分を是正しながらアップデートを図っていくことに他ならない。もちろん化繊を多く使った反物を取り扱ってコストを下げるという「ファイブシーズン」のやり方も、呉服業界の間口を拡げる手段のひとつといえよう。ただ、“上”にのぼり詰めるために、すでに“上”にいる者を引き摺り下ろすことは簡単なことで、そうすれば相対的に自分が上位に立てるかもしれない。でも引き摺り下ろされた者がいた位置に自分が立てるわけでもなく、それが繰り返されていくうちにどんどんと“上”は低いものになっていく。そして、いずれ業界全体が立ち行かなくなる。
クライマックスの聴取で小勝負が井出に言い放つ「師匠の背中からそんなことしか感じ取れなかったんですか」の言葉は、伝統を受け継いで長らえさせ、そして可能であれば進化させていくことの覚悟と重みを。かつて桃園が赤羽に言った「競争のない世界は必ず滅びる」という言葉は公正な競争の必要性を。それぞれ非常にわかりやすいかたちで伝えてくれる。これはシンプルながら良質なエピソードであった。
■放送情報
『競争の番人』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:坂口健太郎、杏、小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎、寺島しのぶ、荻原みのり、真飛聖ほか
原作:新川帆立『競争の番人』(講談社)
脚本:丑尾健太郎、神田優、穴吹一朗、蓼内健太
演出:相沢秀幸、森脇智延
プロデュース:野田悠介
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
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