『新・信長公記』裏切り者の出現で崩壊か “和の心”を尊ぶ永瀬廉の舵切りに期待

『新・信長公記』裏切り者の出現で崩壊か

「相手を敬い、“和の心”を持ちなさい」

 信長(永瀬廉)は、母の教えを胸に刻んで生きてきた。争いからは、何も生まれない。手は、誰かに力を振るうためのものではなく、心をひとつにするためにあるのだと。

 だから、彼は自分の強さをひた隠しにしてきたのかもしれない。何も気にしていないように見えるが、あれだけ周囲に馬鹿にされていたら、「実は強いんだぞ!」と能力をひけらかしたくなってもいいだろう。家康(小澤征悦)のように、武力を使ってクラスメイトを黙らせることだってできる。

 でも、信長はじっと堪えていた。本当の力を知られてしまえば、その強さが搾取される可能性があると分かっていたのだ。しかし、残虐非道な家康が動き出したいま、立ち向かえるのは自分しかいない。そう気付いた信長は、“仲間”たちを守るために立ち上がった。

 『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系)第4話は、信長の魅力が爆発した回だったように思う。とくに顕著だったのが、みやび(山田杏奈)と話している時のこと。ふだんは飄々としているのに、彼女の前では子どもに戻ったような幼い瞳を向けるのだ。

 2019年放送のドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)の時にも思ったが、永瀬はこの切り替えが実にうまい。大人びた表情にしっかりと振り切るからこそ、ふと子どものような目をしただけで、大きなギャップを生み出すことができる。今回も、正気でない信長の人間らしさが垣間見えたような気がして、嬉しくなった。

 ただ、信長のみやびに対する想いは、恋というよりは憧れに近いのかもしれない。“好きな人”よりも、自分軸を持って生きていた“母”に重ねているように見える。どんな時でもまっすぐで、自分を犠牲にしてでも相手に尽くすことができる母とみやび。いまいち理解できなかった母の教えを、身をもって体現しているのがみやびなのだろう。いつも冷静な信長が、初めて本気で声を荒げたのも、彼女を守るためだった。

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