『初恋の悪魔』仲野太賀と松岡茉優の恋の行く末 ミステリアスな伊藤英明のねらいとは?
8月6日に放送された『初恋の悪魔』(日本テレビ系)第4話は、公式SNSのアナウンスによれば“第1章のクライマックス”であったようだ。たしかに、これまでのエピソードとはどことなく雰囲気が違う。“自宅捜査会議”が鹿浜(林遣都)を抜きにして、馬淵(仲野太賀)の家で行われたり、“マーヤーのヴェール”と関係なしに4人が現場に出向いたり、小鳥(柄本佑)は渚(佐久間由衣)にわかるかたちで捜査に協力したり。今回のエピソードは“事件”ではなく、登場人物たちの変化を物語るものであったといえよう。
社会のルールを守らない人々に次々と矢が射られる事件が発生し、警察には「世界英雄教会」を名乗る人物から犯行声明が届けられる。そんな折、家の鍵を失くして馬淵の家に泊めてもらった摘木(松岡茉優)は、馬淵と二人で出勤している途中で「世界英雄教会」による新たな事件に遭遇する。犯人の居場所を特定すべく、出された暗号を解く小鳥だったが、それをもとに現場に向かった渚は矢を射られて怪我を負ってしまう。力を借りようと鹿浜の家を訪ねる馬淵と小鳥。しかし、鹿浜は心を閉ざしてしまっているのである。
犯人から出された99個の問題に夜を徹して挑む小鳥。数学の有名な理論である「誕生日のパラドックス」に則った問題など、次々と数学的な難題を解き明かしていく。会計課の職員であるから数字に強いという周囲のイメージに応えるようにして能力を発揮する、小鳥というキャラクターに新たな一面が付け足されることとなったわけだ。それは他の3人も同様だ。隣人の森園(安田顕)と接点を深めていく鹿浜は、彼が小説家であることを知り、また複数の“妻”がいることにひたすら困惑し続ける。“自分の中にいるもう一人の自分”に悩む摘木を優しく受け入れる馬淵。自分自身をとらえきれない鹿浜と摘木に、包容力の馬淵、個性の小鳥と、彼ら4人のバランスは一層の高まりを見せる。
今回頻繁に登場したのは、摘木が転がり込む馬淵の部屋のシーンであり、とりわけ注目すべきはやはり玄関の靴であろう。きちんと揃えて隅に並べる馬淵に対し、摘木は常に部屋の方につま先を向けた状態で脱ぎ散らかしたまま。しかし終盤、ずっと持っていた朝陽(毎熊克哉)のスマホを返しに来た摘木は、立ち去ろうとした玄関で自分の靴が揃えられていることに気が付く。それは知らぬタイミングで“もう一人の自分”が表出したのか、その辺りは定かではないものの、直後の馬淵の告白を経て映し出される二つ並んだ靴は、二人の足並み、心の向きが揃ったことを示しているかのようにも思える。
鹿浜のもとに掛かってきた電話から推測されるように、次回からの“第1章”は鹿浜の復職が物語を大きく動かすきっかけとなるのだろうか。また森園と共に発見する、鹿浜の住む家の秘密。馬淵と摘木の前に相変わらずミステリアスに現れる雪松(伊藤英明)のねらい。登場人物の内面や背景があらわになっていくと同時に、ドラマ全体がダークな様相を呈していく。まだまだこのドラマの行き着く方向性が見えず、それは実に巧みに興味をそそられるものだ。
■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~22:54放送
出演:林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生ほか
プロデューサー:次屋尚ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hatsukoinoakuma/
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