“再婚”と“婚活の駆け引き”を題材にした『梨泰院クラス』!? 『再婚ゲーム』が問う価値観
大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』は、日本でも大きな人気を獲得し、新たな韓国ドラマブームの原動力となった。その人気を受け、竹内涼真主演の日本版『六本木クラス』(テレビ朝日系)も放送されている。
そんななか、Netflixオリジナルの韓国ドラマシリーズ、『再婚ゲーム』の配信が始まった。これはまさに、女性の“再婚”と“婚活の駆け引き”を題材にした『梨泰院クラス』と言っていい、正義と悪、意地と意地がぶつかり合う、明快な復讐劇だ。原題は「黒の花嫁」だが、邦題は、これも大ヒットを記録した韓国ドラマ『イカゲーム』の要素を抽出しているように感じられる。その効果もあったのか、本シリーズは世界各地のNetflix TV番組ランキングで、一時10位圏内に入り、日本では1位を獲得するヒット作となった。
キム・ヒソン(『明日』)が演じる主人公は、ソウルの富裕層が多く住む江南区で、弁護士の夫と中学生の娘とともに生活をしている主人公ソ・ヘスン。物語は、そんな彼女が、夫から突然離婚を切り出されるところから回り出していく。
夫に離婚を決意させる原因となっていたのは、チョン・ユジン(『スノードロップ』)演じる、弁護士事務所の若い部下チン・ユヒだった。この人物、まさに“魔性の女”と呼ぶに相応しい存在。彼女はヘスンの夫を利用できるだけ利用すると、あっさりと捨てた上に、あろうことか犯罪の容疑者者に仕立て上げる。そして絶望の淵に立たされた夫は、最悪の行動を選ぶことに……。そんなユヒの悪事によって、ヘスンは夫を失うだけでなく、家までも差し押さえられることとなる。
教職に就きながら、娘とアパートで貧しい暮らしをすることになったヘスン。見かねた母親の薦めで、彼女は結婚相談所に足を運ぶこととなる。そのロビーで偶然出会ったのが、なんと自分を不幸のどん底に落とした、あの悪女ユヒだった。ユヒもまた、伴侶を探して相談所にやってきていたのだ……。
憎しみの炎に身を焦がすヘスンは、ユヒの目論みを潰し、自分がより良い相手を見つけるべく動き始める。二人はやがてライバルとなり、熾烈な頭脳戦を繰り広げながら、結婚相手ゲットに励むことになる。その姿はまさに、宿命の天敵“龍と虎”が結婚相談所に降り立ち、互いに睨み合うところをイメージさせる。ドロドロとした下世話さがある筋立てだが、ついつい観たくなるようなポイントが、たくさんあるのは間違いない。
さて、この結婚相談所「レックス」そのものも面白い。ソウルでもトップクラスといえる富裕層の男性ばかりが所属し、女性もまた学歴や美貌など、いわゆる「高スペック」の会員がいるというのが、レックスの強みである。会員はそれぞれのマッチングのためランクづけされ、そのなかには、トップ中のトップといえる「ブラック会員」の男性も存在するという。上昇志向のかたまりであるユヒが狙うのは、もちろんブラック会員のみ。
シリーズ最大の見どころは、着飾った会員たちが何人も集まった、豪華な仮面舞踏会である。それぞれが何者か分からないまま、男女は駆け引きを繰り返すのだ。誰がブラック会員かが明らかにされていない状況で、女性会員たちがどう“ハンティング”するのかが見ものである。