『赤いナースコール』佐藤勝利演じる翔太朗が怪しい? “考察ドラマ”では全てが可能
工藤が翔太朗を疑う理由は、入院患者で脚本家であるという一点に尽きる。工藤は「テレビの刑事ドラマを見てみろ。多少辻褄が合わなくても平然と進行している。脚本家の筋書きに騙されるなということだ」と考えを述べる。一見もっともそうだが、これはミスリードを誘う引っかけ。フィクションは現実を上回るが、脚本家が現実を作り出せるわけではない。だから、仮に想像を上回る犯罪がドラマの中で起きても脚本家が犯人ということにはならない。工藤は現実とフィクションを混同しているだけで、翔太朗は犯人ではない。これが通常の事件ならば。
しかし、これはドラマである。そして私たちは知っている。本作の原作・企画を手がける秋元康が一筋縄ではいかないトリックを仕掛けてきたことを。通常のミステリーと考察ドラマの違いの一つは、謎解きの快楽とどんでん返しのスリルのどちらを優先するかだ。ミステリーの世界で現実と整合しない事件は起きず、主人公は犯人ではありえない。しかし、ドラマの世界では何でも起こる。少なくとも映像で表現できることは。その点で工藤の言ったことは正しいのである。
はたして工藤の推理を裏付けるように、翔太朗は犯人が2人いる可能性を口にする。「ドラマはありえないことが起こるからおもしろいんです」とは翔太朗の言葉で、現実に起こりえないことが本作で起きることを予告する。殺された江口が313号室の松井(木村了)に会っていたこと、アリサの顔面の傷、病院内に伝わるナースコールの噂など新事実が発覚した第3話。現時点で翔太朗の無罪を証明するのは、彼の記憶と自意識だけだ。全てが明らかになった時、翔太朗はどこにいるのか。はやる気持ちを抑えつつ、しばらくの間、作者の手のひらで転がされることにしよう。
■放送情報
ドラマプレミア23『赤いナースコール』
テレビ東京系にて、毎週月曜23:06~23:55放送
Paravi、ひかりTVにて、地上波放送終了後に配信
出演:佐藤勝利(Sexy Zone)、福本莉子、池田鉄洋、ベッキー、木村了、山本浩司、橋本淳、森田甘路、大水洋介(ラバーガール)、堀口紗奈、板尾創路、浅田美代子、鹿賀丈史
企画・原作:秋元康
監督:本橋圭太、上田迅
脚本:秋元康、宮本武史、服部隆、吉崎崇二
音楽:矢野博康
主題歌: みゆな「凝視」(A.S.A.B)
オープニングテーマ:Sexy Zone「Sleepless」(Top J Records)
チーフプロデューサー:森田昇(テレビ東京)
プロデューサー:北川俊樹(テレビ東京)、平部隆明
制作:テレビ東京、ホリプロ
製作著作:「赤いナースコール」製作委員会
(c)「赤いナースコール」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/akanasu/
公式Twitter:@tx_akanasu
公式Instagram:@tx_akanasu