『石子と羽男』言葉以上に物語る中村倫也と有村架純の“目”の演技 赤楚衛二の複雑な視線も

 型破りの天才弁護士を演出するべく眉間にシワを寄せた怪しい表情。触れられたくない過去について話されて思わず潤む瞳。恋心を見透かしたかのような意味深な視線……。金曜ドラマ『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)を観ていると、いかに中村倫也の“目”の演技がバリエーション豊かかが伝わってくる。

 対して、相棒役の有村架純も負けてはいない。人のいい父に代わって経理面をしっかりしなければと勇む眼差し、亡き母への複雑な感情をにじませる涙、恋を予感させる瞳孔の開いた目……。長台詞の掛け合いでテンポよく展開される本作で、さらにW主演となる2人の目の演技が言葉以上に物語るとは。どうりで情報量が多く、1時間があっという間に感じられるわけだ。

 身近なトラブルをきっかけに、絡みついた人間関係を法律で整えていく『石子と羽男』。第2話で描かれたのは、小学生によるスマホゲームの課金問題だった。未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として契約を取り消すことができる権利「未成年者取消権」があるため、すんなりと解決するかと思われた。

 だが、ゲーム会社の顧問弁護士として姿を現したのは羽男(中村倫也)の元同僚・丹澤文彦(宮野真守)。羽男が会社を追われ、さらに他の会社でなかなか雇ってもらえなかった過去をチラつかせていく。羽男の潤んだ目の奥に見えたのは、悔しさか、情けなさか、恥ずかしさか……じわじわと赤くなっていく目に、その過去がどんなものだったのかと想像を掻き立てられる。

 一方で、第2話では中学受験をする小学生と母親を通して、まだ多くは語られていない石子(有村架純)の過去についても透けて見えてくる。石子が東京大学に合格するよりずっと前に父と母は離婚をしていたこと。それゆえにシングルマザーであることを理由に不自由をさせまいと、母は懸命に石子を育ててくれたのだという。

 「子のために親が身を粉にして働く」とは美談に聞こえるが、自己犠牲的な親の愛情は時として子に気を使わせるものにもなるということ。やりたいことを我慢したり、やりたくないことをあえてしたり、その愛情を受けた子もまた親へ自己犠牲的に愛を返そうとしてしまいかねない。

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