『サマータイムレンダ』明らかになったひづるとハイネの関係 久野美咲が見せる表現力の幅

 第14話の冒頭ではひづると穏やかな声色で話すハイネの姿が映し出されている。これまで見せてきたハイネの表情とはまるで異なるものだ。無邪気にお菓子を頬張るハイネの姿は純粋無垢な子供そのもの。そしてハイネの口から発せられた「シデ様」という言葉。その正体はハイネと共にいた四本腕の影を指すようだ。またひづるとハイネの会話でハイネが飢餓時代の記憶を思い出して涙を流していたが、その記憶は島に蔓延る影の出自と関係があるのだろうか。

 さらに竜之介の死の真相が明らかとなった。竜之介は飢えたハイネによって殺されたが、その現場をひづるに発見されると、ハイネは正気を取り戻し「わしじゃない」と連呼しながら叫喚する。右目が飛び出して声ともならない声でハイネが絶叫するシーンは見せ場のひとつだったが、久野美咲の表現力によって見事に再現されていた。『七つの大罪』のホーク役や『3月のライオン』の川本モモ役をはじめ、久野は幼いキャラクターを演じることが多かったが、ハイネでもその実力が遺憾なく発揮されている。とはいえ、ハイネのダークな側面の演技は新鮮でもあり、彼女の幅の広さに驚かされた。

 これまでの経験を踏まえて、慎平とひづるは小早川家への突入をやめ、その夜に都ヶ島小中学校の体育館に窓たちを集めた。潮の影がみんなに過去のループの記憶を追体験させることによって、慎平たちが置かれている状況を理解してもらえたのは大きい。協力者は多ければ多いほど動きやすくなるし、影との戦闘でも優位に立てる。最後に慎平がみんなの前で宣言するシーンは、彼のこれまでの過酷なループを思うとグッとくるものがあった。

 みんなが共通の目標に向かって一致団結したその刹那、慎平は再びループしてしまっていた。すでにハイネたちによって外で待機している根津は殺られており、彼の持つ狙撃銃で撃たれたと考えるのが妥当だが、それにしてもループ時の記憶がないのはどういうことなのだろうか。先回りして行動するハイネたちを前に慎平たちがどう立ち向かうのか注目していきたい。

■放送情報
『サマータイムレンダ』
TOKYO MX・BS11にて、毎週木曜24:00~放送
関西テレビにて、毎週木曜26:55~放送
アニマックスにて、毎週土曜20:00~放送
J:テレにて、毎週月曜25:00~放送
声の出演:花江夏樹、永瀬アンナ、白砂沙帆、日笠陽子、浦山迅、小野賢章、河瀬茉希、大塚明夫、玄田哲章、上田燿司、小西克幸
原作:田中靖規(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:渡辺 歩
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:松元美季
アニメーション制作:オー・エル・エム
制作:小学館集英社プロダクション
(c)田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

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