ジェイソン・ブラムが語る、10年越しにスコット・デリクソンと作った『ブラック・フォン』

J・ブラムが語る『ブラック・フォン』秘話

 ブラムハウス・プロダクションズによるサイコスリラー『ブラック・フォン』が7月1日から公開中だ。スリラー作品を数多く世に送り出してきた映画製作集団ブラムハウス・プロダクションズが新たにパートナーとして選んだのは、『ドクター・ストレンジ』『エミリー・ローズ』などで知られるスコット・デリクソン監督。ブラムハウス・プロダクションズのプロデューサーであるジェイソン・ブラムは、イーサン・ホーク主演のサスペンスホラー映画『フッテージ』で、スコット・デリクソン監督と共同作業をしている。『フッテージ』から10年、『ブラック・フォン』に込めた想いをジェイソン・ブラムに語ってもらった。

スコット・デリクソン監督らと作り上げた『ブラック・フォン』

ジェイソン・ブラム

――スコット・デリクソン監督から『ブラック・フォン』のアイデアを持ち込まれたとき、どのように感じましたか?

ジェイソン・ブラム(以下、ブラム):僕は、10年前にスコットと『フッテージ』を作って以来、彼が電話してきて、「ジェイソン、僕にはもう1本(やりたい)ホラー映画があるんだ」と言うのを、ずっと待っていました。そして10年後、彼がついに僕に電話してきた。そして、『ブラック・フォン』の脚本を送ってきた。とても気に入った僕は、彼に“黒い電話”を送りました。「この映画を作るのが待ちきれない。ところで、ここに電話があるよ」と言ってね(笑)。

――スコット・デリクソンはこの10年間に、監督としてどのように進化したと思いますか?

ブラム:面白いことに、イーサン(・ホーク)と僕は10年間に何本かの作品を作ったけど、スコットと僕は『フッテージ』以来、一緒に仕事をすることはありませんでした。だから、スコット、イーサン、僕らの3人が、経験を積んだ10年後に一緒に仕事をするのは興味深いものがありました。『ブラック・フォン』は、『フッテージ』よりもいい映画だと思う。なぜなら、この作品を書いた(C・ロバート・)カーギルも含めた僕ら4人には、40年分の経験があるから。カーギルは『フッテージ』の共同脚本家なんです。僕たちはお互いのことをとてもよく知っていて、お互いとても信頼し合っているから、クリエイティブなプロセスはより簡単で楽しかった。『フッテージ』は悪い経験じゃなかったけど、『ブラック・フォン』にはもっとドラマがありました。僕たち全員がお互いによく知っていたおかげで、よりスムーズでしたね。

スコット・デリクソン

――反対に、彼らの変わっていない良い面はありましたか?

ブラム:間違いなくありますね。最も重要なことは変わっていませんでした。イーサンは10年前も素晴らしい役者だったし、今はさらにいい役者になっている。スコットは、ホラーで最も素晴らしい、最も才能のある監督の一人です。彼は『フッテージ』をやったときも『エミリー・ローズ』をやったときも、本当にホラー映画を理解していたと思う。彼はあらゆる種類の映画をやるし、様々なタイプの映画をやれるけれど、とてもホラーを愛していて、そのことが彼を素晴らしいホラー監督にしていると思う。そして僕は、そのときと同じプロデューサー。だから、僕らは変わらず少し進化しただけなんです。

――イーサン・ホークを悪役にキャスティングした経緯を教えてください。

ブラム:もともと、僕がイーサンに演じてほしかったのは父親の役でした。脚本をイーサンに送ったら、イーサンはそれを読んで「僕はグラバーの役を演じたい」と言ったんです。スコットと僕は、彼にグラバーをやってほしくなかったけれど、イーサンは「自分は悪人をやりたい」と強く主張しました。彼はそれまで完全な悪人を演じたことがなかったから、グラバーを演じたかったんです。それで僕らは「イエス!」と言いました。イーサンは最終的に正しかった。父親を演じているよりも、悪人としての方がずっと良かったですね。だから、僕らがイーサンにやりたいことをやらせたのは、最終的には良いことでした。

――ストーリーの中でなにかを表現したり、作り出すことに関して、今回の撮影で最大のチャレンジはなんでしたか?

ブラム:この撮影の最大のチャレンジは、僕らがコロナの初めの頃に撮影したことです。コロナに入って6カ月目でした。だから、それがダントツに一番大変なことでしたね。僕たちはやりながらコロナに対する対処法を学んでいきました。そのせいで、この作品はずっとお金のかかるものになりました。とても大変でしたたね。

――本作で、特に気を配ったシーンはありますか?

ブラム:全ての映画の中で気を配ることだけど、「役者たちは誰か? ストーリーは筋が通っているか? ストーリーはリアルに感じられるか? それは本物らしく見えるか?」ということ。特に、この作品は時代ものですからね。

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