『ククルス・ドアンの島』で初めてガンダムに触れた方へ オススメ過去作品をピックアップ

『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』

 続いて、同じくOVAの『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(1996年)全11話。宇宙での戦いが多いガンダムシリーズの中では、ジャングルでの陸上戦にこだわった異色作。連邦軍の新米士官シロー・アマダと、ジオン軍の女性パイロット、アイナ・サハリンとの敵味方の恋愛ドラマが進行するなど、兵士同士のロマンスを描く一風変わったガンダムだ。雪をビームサーベルの高熱で溶かして露天風呂を作り、主人公の2人が混浴する名シーンも登場する。シローはメンタルをやられて落ち込んだり苦悩するタイプの男ではなく、どちらかというと陽キャなのでサクサク楽しめるだろう。いきなり11話分も観るのは厳しいという人には、OVA数話分を再構成した50分の中編映画『機動戦士ガンダム 第08MS小隊 ミラーズ・リポート』(1998年)で作品の概略を掴んで、気に入ったら全編視聴のコースもいいだろう。ただし映画用の新キャラクターの視点からシローの活動を追う第三者視点の構成の上、時間的制約から物語を途中までしかまとめていないので、『第08MS小隊』の魅力を十分に抽出しているとは言い難い。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』

 最後にOVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(2015年)全6巻。『ククルス・ドアンの島』同様に、安彦良和がメインで参加した近々のガンダム作品で、赤い彗星シャア・アズナブルはどんな生い立ちを経てあの人格に至ったかが語られる。テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の前日譚という位置づけで、話が進むごとにアムロやカイなどお馴染みのキャラクターたちが登場する。だがあくまで安彦良和の漫画『THE ORIGIN』をベースにしたアニメで、登場人物たちは表情付けや芝居がオーバーアクション気味である。『ククルス・ドアンの島』が気に入った人ならば問題視するようなことではないが、OVAはあくまで安彦の視点と解釈で描かれたオリジナル作品という点に留意の上、ご覧になっていただきたい。

■公開情報
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』
全国公開中
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:安彦良和
副監督:イムガヒ
脚本:根元歳三
キャラクターデザイン:安彦良和、田村篤、ことぶきつかさ
メカニカルデザイン:大河原邦男、カトキハジメ、山根公利
総作画監督:田村篤
美術監督:金子雄司
色彩設計:安部なぎさ
撮影監督:葛山剛士、飯島亮
3D演出:森田修平
3Dディレクター:安部保仁
編集:新居和弘
音響監督:藤野貞義
音楽:服部隆之
製作:バンダイナムコフィルムワークス
主題歌:森口博子「Ubugoe」(キングレコード)
配給:松竹ODS事業室
(c)創通・サンライズ
公式サイト:https://g-doan.net/

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