『ちむどんどん』暢子は恋愛をするヒロインなのか 彼女が気になる男性陣とともに振り返る
過去から第三の刺客がやってきて、三角関係ならぬ四角関係になる可能性もある暢子の恋愛模様だが、彼女は「アッラ・フォンターナ」で雑誌のインタビューを受けた際に恋人の有無を聞かれ、「まさかやー、うちは料理が恋人です。結婚願望は全くありません!」と答えていた。大人になっても智からのあからさまな好意を恋愛的な意図として捉えることもなく、相変わらず鈍感な暢子。近年の朝ドラを振り返ると、「結婚はしない」ヒロインは結構いて、前回の『カムカムエヴリバディ』の大月ひなた(川栄李奈)も独身のまま物語が終わっている。高畑充希主演の『とと姉ちゃん』も、モデルとされる大橋鎭子が生涯独身だったため、一瞬ドラマオリジナル要素として坂口健太郎演じる星野との恋愛が描かれたが実ることはなかった。能年玲奈主演の『あまちゃん』もまた、福士蒼汰演じる種市と交際する主人公だったが、その後は特に描かれていない。瀧本美織主演の『てっぱん』も、主人公がプロポーズをされるが結婚せず。多部未華子主演の『つばさ』も、結局は誰とも結ばれない主人公だったが幼なじみと恋仲になる展開はあった。結婚はしていなくとも、やはりヒロインの恋愛は朝ドラにおいて避けては通れない要素なのである。しかし、中には榮倉奈々主演の『瞳』のように、恋心を自覚するも相手にアプローチせず、誰との交際せずに終わった作品がある。『ちむどんどん』もこれに近いケースになるか、それとも有村架純主演の『ひよっこ』のように終盤に一気に恋愛を描くケースになるのだろうか。
正直、これまでの暢子のキャラクターを振り返れば彼女は恋愛に興味を持っていない。姉の良子(川口春奈)が博夫(山田裕貴)を、歌子(上白石萌歌)が智(智のことが好きとは知らないが)を好きで浮き足立っていた頃も、その渦中で「じゃあ私にとっての好きな人は?」と疑問を抱くこともなかった。NHKではアロマンティック・アセクシュアルの2人を描いた『恋せぬふたり』を制作していたこともあり、朝ドラの習わしのためにキャラの性格の整合性を無視して“無理矢理”恋愛をさせるのではなく、「恋愛をしない」ヒロインをこの際誕生させることもいいのではないだろうか。
ただ、既に第56話で和彦と愛(飯豊まりえ)との結婚話を聞いてしまった暢子が嫉妬するようなシーンが描かれている。上京してすぐに和彦と再会した時も、恋人の存在を特に気にしていなかったし、その後6年間も嫉妬をしなかっただけに暢子の突然湧き出てきた感情に少し戸惑いを感じてしまうものの、今後の展開に注目したい。
■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK