大沢一菜、“母”の号泣シーンにびっくり!? 井浦新「それが尾野真千子。本気だから」

 映画『こちらあみ子』の完成披露上映舞台挨拶が6月20日に新宿武蔵野館にて行われ、大沢一菜、井浦新、尾野真千子、森井勇佑監督が登壇した。

 芥川賞受賞作家・今村夏子のデビュー作を映画化した本作の主人公は、広島に暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりだが純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていくさまを描く。あみ子役は、応募総数330名の中からオーディションで選ばれた演技未経験の大沢一菜が務めた。

大沢一菜

 森井監督は、大沢の起用理由について「僕が惹かれたのは、一菜がとっても元気で、嘘をつかないところ。あとは根本的に優しいんです。僕はこの映画を作るにあたって、あみ子の優しさが必要だなと思っていたので、それがにじみ出ているのではないか」と説明。井浦も「監督が『一菜があみ子を超えちゃった』って。普通、俳優が役に寄っていくのに、役が一菜に寄っていっちゃったというのはすごいこと」と話し、尾野も「なかなかないね」とほほえんだ。

井浦新

 そんな大沢の印象について、あみ子の父親役を演じた井浦は「このまんまです、としか言えない」と頬を緩め、「だから楽しかったですよ、すごく」と撮影を回顧。さらに、「一菜本人が持っている思いやりの出し方の不器用さとかが、あみ子を超えていく大きな要因だったんだろうな。優しいけど、うまく優しさが出せなくてモジモジしているところが素敵に見えたりもする」と語った。

 これまで数々の作品に出演してきた井浦だが、今作の撮影は他の作品とは一味違った様子。井浦は「(大沢が)座長としてちゃんとあみ子のペースをずっと作ってくれていたので、僕らもそれに気持ちよーく巻き込まれながら。あみ子がお昼くらいに力尽きて寝たら、撮影は止まる。で、起きたら再開しようみたいな感じで」と笑顔を見せ、「みんなで『寝ちゃえ寝ちゃえ』って。あみ子時間で過ごしていた」と振り返った。

尾野真千子

 一方、母親役を演じた尾野は「とにかく監督があみ子のことが大好きで。(大沢が)他のスタッフのことを『大好き』とか言うと、すっごいショックを受けるの」と暴露。ところが、森井監督から「尾野さんも同じようなこと言ってましたよね?」と指摘されると、自分より大沢と仲良くしているスタッフを見て嫉妬をしていたことを打ち明け、「そのスタッフのことを一時期ちょっと嫌いになりそうだった」と笑った。

 また撮影期間中、尾野がオフの日にも大沢と買い物に出かけるなどして距離を縮めていたことを明かした井浦は、「現場でも支度場から(大沢と)テンションが一緒ですごいなと思って」と尾野を絶賛。それを聞いた尾野は「お父さん(井浦)は、私が撮影に入る前から、もうあみ子と仲が良くて。すでに現場のみんなの気持ちがあみ子に向かっていたから、ひとりで女優らしく“フンフン”してたらいかんと思って(笑)」とその理由を告白し、「なんとかみんなに追いつきたかったし、あみ子からも『尾野さん』じゃなくて『お母さん』って呼ばれたくて。『尾野さんって言ったら1万円だからね』とか言って」と当時のやりとりを再現し、大沢と笑い合った。

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