秀逸な人類への皮肉に大笑い『ラブ、デス&ロボット』 “SFならでは”な吹き替えも魅力

 また、人類が滅んだのはどうやら“地球が人類の住める場所ではなくなったから”なのだろうと伺える。昨今世界の重要課題として掲げられている環境問題を下地に、ストーリーが展開しているのだ(もちろん作中では時すでに遅し。人類は大体ガイコツなのだが)。私たちが暮らす現実世界でも大手企業CEOなどの“超金持ち”が、宇宙開発や火星移住に本格的な取り組みを見せている。それらに対し、「宇宙ではなく今住んでいる地球の環境問題に目を向けるべき」と批判の声も上がっているが、作中のロボットも「ロケットに費やす金があるなら地球を救うために使えばいいのに」と指摘。さらに「人間って本当に最低だ」とセリフが続くシーンがある。人間の愚かさに対して皮肉が効いていて、筆者が気に入っている理由でもある。さらに「そりゃ人間は勝てません!」と大笑いできるオチも非常に秀逸で、絶対に勝てないし絶対に平伏してしまうので、覚悟して観て欲しい。

 本作は、ダークでグロテスクでセクシーな話ばかりなので、アニメーション作品といえど100%大人向けの出来に仕上がっている。また3DCG技術が非常に高く、実写なのかアニメーションなのか区別がつかない。シーズン1の1編だけ実写パートが主軸になっている話があるが、区別が付かずびっくりするので堪能してもらいたい。シーズン1と同じ設定のストーリーが観られるシーズン3が配信された今、『ラブ、デス&ロボット』をまだ未見、もしくは途中までは観たという人も鑑賞するには絶好のタイミングだ。

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『ラブ、デス&ロボット』
シーズン1〜3:独占配信中
製作総指揮:デヴィッド・フィンチャー、ティム・ミラー、ジェニファー・ミラー、ジョシュア・ドーネン
エピソード概要:
『ロボット・トリオ:出口戦略』(監督:パトリック・オズボーン)
『最悪な航海』(監督:デヴィッド・フィンチャー)
『死者の声』(監督:エミリー・ディーン)
『小さな黙示録』(監督:ロバート・ビシ、アンディ・ライオン)
『絶体絶命部隊』(監督:ジェニファー・ユー・ネルソン)
『巣』(監督:ティム・ミラー)
『メイソンとネズミ』(監督:キャロル・スティーブンス)
『地下に眠りしもの』(監督:ジェローム・チェン)
『彼女の声』(監督:アルベルト・ミエルゴ)

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