『パリピ孔明』大成功の理由は2人の英子にあり 本渡楓×96猫と重なる夢を追う姿
2022年春アニメ録画ランキングで2位にランキングするなど、大きな注目を集めているアニメ『パリピ孔明』(※1)。原作は『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載中の同名漫画だ。
本作は「次にくるマンガ大賞 2020」でU-NEXT賞特別賞に選ばれるなど、アニメが放送される前から高い評価を得ていた作品だ。アニメ作品として拡張された要素も含め、本作の魅力を考察したい。
三国志の英雄として名高い諸葛亮孔明が転生したのはハロウィンで盛り上がる現代の渋谷。混乱する孔明はクラブ「BBラウンジ」に迷い込んでしまうものの、ステージに立つシンガーソングライター・月見英子の歌声に心を奪われる。
孔明は英子に称賛の声を贈るものの、彼女は歌手になることを諦めかけていた。多くの人に英子の歌を届けたいと思う孔明は、彼女の“軍師”となり、さまざまな工夫を重ねて英子の魅力を届けていく。
聡明で機転の利く孔明の活躍が多く描かれる本作において、孔明のユーモラスな姿は作品の魅力として挙げられるだろう。
第1話「孔明、渋谷に降り立つ」では「この世にはまだまだ私の知らぬことが多いのですね……」と嘆き、スマートフォンの使い方などの質問を英子に尋ねる孔明の姿が描かれた。ブロックチェーンについては知ることができなかったものの、“Wiki”については理解を深めたらしい。
またBBラウンジでアルバイトを始めた孔明が、英子の心配をよそに初日からバリバリと働く様子も描かれた。クレジットカードでの支払いにも迅速に対応しつつ、ジントニックやバカルディといったドリンクメニューをつくる孔明の姿は千手観音像を彷彿とさせる。
歴史上の偉人が現代の暮らしに順応している違和感から生まれる、真面目な孔明のユーモラスな姿。孔明のキャラクターと彼の周りに存在する世界との“ズレ”が生じることで、孔明に面白さを感じてしまうのだろう。