『ベター・コール・ソウル』S6前半戦終了 『ブレイキング・バッド』最大の謎に向けて

 そしてジミーらはこの夜、ハワードが押しかけてくることも見越していた。身も心もボロボロになったハワードは人知れず抱えてきた苦悩を語り、それでも「きっと切り抜けられる。私は大丈夫」と気丈に振る舞う。そこにはあの鼻持ちならない高慢な男の姿はない。彼はジミーらが思うような、憎むべき相手ではなかったのだ。チャック(マイケル・マッキーン)がジミーの本質を言い当てたように、ハワードが「君らには心がない」と指摘した時、ろうそくの炎がゆらぐ。たったこれだけの描写にこんなにも戦慄したことがかつてあっただろうか? ラロの出現だ。彼は「あんたは誰だ?」というハワードの問いに「誰でもない」と答えると、あっさりとハワードを処刑(Execution)してしまった。ジミーとキムの悪事が、ハワードを無慈悲な“死”に曝してしまったのだ。

 さぁ、これでシーズン6前半が終了し、いよいよあと6話である。ナチョ、ハワードが舞台を去り、『ブレイキング・バッド』へのミッシングリンクも残り僅かとなった。ラロはジミー宅へ押しかけたが、そもそもジミーが持っているガスとの接点はマイクだけだ。ガスはラロの脅威によってラボ建設を中断しているものの、後にこれはウォルター・ホワイト(ブライアン・クランストン)によってフル稼働することとなる。『ブレイキング・バッド』シーズン2第8話、銃を向けられたソウルはとっさに「ラロがお前たちを送ったのか?」と口走る。ジミーはこの危機を乗り越えてもなおラロの恐怖を抱き続けているのだ。そして『ブレイキング・バッド』におけるキムの不在という最大の謎に、いったいどのような答えが用意されるのか?

 ラロは言う、「さぁ、話そう」。もちろん。僕らはこれからの約2カ月間、『ベター・コール・ソウル』について話さずにはいられない。

■配信情報
『ベター・コール・ソウル』シーズン6
Netflixにて配信中
(c)Joe Pugliese/AMC/Sony Pictures Television

関連記事