『金田一少年の事件簿』道枝駿佑が挑んだ初ドラマ化エピソード ホラー色薄めた秀逸な脚色

 また原作のなかでは、伊能の死体の服が赤く染められていたのは鳴沢の仕業ではなく、“花子さんの呪い”というオカルト要素を強く残したまま幕を下ろした。しかしドラマ化にあたっては鳴沢の犯行の回想のなかではっきりとその工程が描かれ、またそれを“花子さん”と結びつける事故死した少女の話を語るのも鳴沢であった。振り返ってみれば、前々回の「聖恋島殺人事件」では原作で触れられなかった部分を“未解決”の要素として、セイレーンの仕業ではないかと含みを持たせてドラマを終わらせていた。それとの重なりを避けるための脚色なのだろうか。

 その点もあってか、思いのほか全体的にホラータッチは抑えられていた印象だ。主に“初代”の『金田一』においてはホラー描写もいとわず、それが一種のトラウマとして強烈に視聴者の脳裏に焼き付くきっかけとなっていたわけだが、“5代目”はその辺りを可能な限り踏襲して攻めた描写に挑んできた。今回のエピソードでももっと攻めてもいいのになと思いながらも、中盤で全員が“花子さん”の墓の前から立ち去り、ひとり残された一がそのまま恐怖体験をする夢オチの見せ方はなかなか巧妙であった。

※岩崎大昇の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■放送情報
『金田一少年の事件簿』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、上白石萌歌、沢村一樹、岩崎大昇(美 少年/ジャニーズJr.)ほか
原作:天樹征丸、金成陽三郎
漫画:さとうふみや(講談社)
脚本:川邊優子、大石哲也
監督:木村ひさし、丸谷俊平
主題歌:なにわ男子「The Answer」(ジェイ・ストーム)
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:櫨山裕子、岩崎広樹、秋元孝之、大護彰子
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kindaichi2022/
公式Twitter:@kindaichi_5
公式Instagram:@kindaichi_5

関連記事