『私たちのブルース』大人になって拗れた“女の友情”の行方 ジョンジュンは覚悟する?

『私たちのブルース』が描く女の友情の行方

 皆、何かしらを背負って生きている。話さないだけで、見せていないだけで。そんな彼らに誰かが寄り添い、時には共に戦い、慰め合って日々を過ごしている様子に励まされる、Netflixで配信中の『私たちのブルース』。

 「本当に親友なのだろうか」という疑問に蓋をして、“義理”のためにコ・ミラン(オム・ジョンファ)との友人関係を維持しようとするチョン・ウニ(イ・ジョンウン)。酔っ払って帰ってきたミランを介抱し、突然泣き出せば子守唄を歌い、自分より立派な朝ご飯を用意して仕事に行くウニはまるで母親だ。一方ミランは、自分に構わないウニのために家を綺麗にし、スーツケースいっぱいに詰め込んだ新しいカーテンやベットシーツを取り出すと家を彩りウニを喜ばせようとしている。二人の気持ちが通じ合わずに成立している関係は、薄っぺらい。しかしこれは真正面からぶつかり合う青春物語ではない。“いい歳”したウニにとって、やり過ごすよりも向き合うことの方がよっぽど難しいのだ。

 そんな中でウニの日記帳を読んでしまい、彼女の胸の内を知ったミラン。“二重人格”、“身勝手な女”などと書かれていても「傷つけたことがあるなら謝りたい」と歩み寄ろうとする。それでもウニは何も話そうとはしなかった。ミランが娘からもらった大事なネックレスをウニに貸したのは、本心を話してほしいとの願いを込めたようにも見える。

 ウニはミランを“そういう人”だと決めつけ、期待をするのも諦めていた。ミランは「ウニならわかってくれる」という思いから言葉を選ばずにウニを傷つけていた。確かに月日が何事もなかったかのように消化してくれるかもしれない。だが踏み出すための労力や勇気は、流れた時間の分だけ必要だ。

 同窓会の日、ミランと同級生の妻が揉め合い、止めに入ったウニの頬を叩いたのはミランだった。訳もわからずビンタされても普通に振舞うウニを前に、ついに日記帳を見たことを告白するミラン。それでも本音を吐き出そうとしないウニに対して「自分が思っているほど義理堅い人間じゃない」と言い放ち、二人は友情をゴミ箱に捨てた。

 高校生の頃にミランの一言でウニが傷ついた出来事を「友達だから言うけど……」と話してくれたパン・ホシク(チェ・ヨンジュン)。しかしミランはウニからも正直に言ってくれるのを望んでいた。親友を傷つけた“最低な女”である自分を責められるのは、ウニしかいないから。3度の結婚、娘から気を遣われる悲しみをウニは知らないだろう。一方、周りに召使いや子分だと言われる劣等感をミランは知らない。きっとこれらの感情はこれから先も分かり合えない。だけどウニとミランみたいに“いい歳”だからこそ、お互いを理解して許して、また受け入れられたのだ。

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