『正直不動産』明かされた桐山の意外なバックグラウンド 市原隼人が役の奥深さを体現

『正直不動産』市原隼人が魅せる人の奥深さ

 永瀬との関わりでは無骨で愛想のない姿を見せていた桐山だが、実は月下(福原遥)の目線を借りることで、実直かつ努力家、真っ直ぐな人となりが見えてくる。桐山は、これまでにも月下のチラシ配りを手伝ったこともあり、他にもさりげなく月下の仕事をサポートしてきた。キャラクターの視点によって桐山自身のイメージが大きく変わるという点は、『正直不動産』の奥深さのひとつでもあるだろう。現実世界での同僚がそうであるように、桐山という人間も、それぞれの登場人物の視点によって見え方は大きく異なっているのだ。桐山を演じる市原隼人もまた、様々な方向から役と向き合い演じていることが伝わってくる。登坂社長(草刈正雄)にとっての桐山、月下にとっての桐山、そして永瀬にとっての桐山では同じ役であっても少しずつ違いがあるのだ。特に、プロジェクトを通して信頼関係が深まった永瀬との関わりの中には、桐山がリスペクトを持って接していることが感じられるシーンも。多くを語る男ではない桐山だが、市原の“雄弁な表情”によって奥深く魅力的なキャラクターに描かれている。


 最初のうちは、嘘がつけなくなったことで仕方なく正直に生きていた永瀬だが、取引先や顧客との信頼関係を築く中で徐々に、お金以外の「やりがい」や「プライド」を見出していく。そしてついに「顧客一人一人に正直営業をする」と公言したのだ。どうやら永瀬の姿勢は桐山だけでなく、「フェアに仕事をしたい」と宣言した花澤(倉科カナ)や客のために融資の計画を手伝おうとする榎本美波(泉里香)にまで影響を与えている様子。永瀬の真っ直ぐな仕事ぶりは今後、周りをも変えていくのかもしれない。

■放送情報
連続ドラマ『正直不動産』(全10話)
NHK総合にて、毎週火曜22:00~22:45放送
出演:山下智久、福原遥、市原隼人、草刈正雄、大地真央、高橋克典、倉科カナ、長谷川忍(シソンヌ)、泉里香
原作:大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本) 
脚本:根本ノンジ
音楽:佐橋俊彦
制作統括:黒沢淳(テレパック)、山本敏彦(NHKエンタープライズ)、岡本幸江(NHK)
プロデューサー:清水すみれ(テレパック)、宇佐川隆史(NHKエンタープライズ)
演出:川村泰祐(アンドリーム)、金澤友也(テレパック)、野田健太(テレパック)
写真提供=NHK

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