ルーカス&スコセッシが4Kレストア テリー・ギリアム『ジャバーウォッキー』7月公開決定

 テリー・ギリアム監督のコメディ映画『ジャバーウォッキー』の4Kレストア版が、7月1日よりシネマート新宿ほかにて全国順次公開されることが決定した。

 本作は、イギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」に唯一のアメリカ人アニメーターとして参加し、映画『未来世紀ブラジル』(1985年)や『バロン』(1988年)、『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(1918年)などで知られるギリアムが、1977年に手がけた単独長編監督デビュー作。

 ルイス・キャロルのナンセンス詩を基にした中世ファンタジック冒険コメディで、パイソンズのメンバーであるマイケル・ペイリンが主演を務めた。とある王国を舞台に、凶暴な怪獣退治に巻き込まれた青年の活躍をブラックユーモア満載で描く。

 村娘に片思い中の純朴な青年デニスはある日、樽職人だった父の死をきっかけに仕事を求めて街へ出ることになる。その一方で、とある王国では凶暴な怪獣の出現に困っていたブルーノ王が、怪獣退治が出来る屈強な騎士を探すため、トーナメント戦の大会を開催。デニスは仕事を求めて偶然ブルーノ王国に足を踏み入れるが、いつの間にかトーナメント戦に巻き込まれ......。

 日本では1980年に劇場公開後、ビデオ発売されたのみ。DVD化されておらず、ファンの間では鑑賞が難しい“隠れた名作”として公開を希望する声が上がっていた本作。元の素材は長年放置され劣化も進んでしまっていたが、本作の大ファンであるマーティン・スコセッシとジョージ・ルーカスの出資により4Kレストアを実施。ギリアム監督もスーパーバイザーとしてレストアを承認している。

 また、本作に対してギリアム監督からコメントも到着している。

テリー・ギリアム監督コメント

『ジャバーウォッキー』は、わたしにとって初めて“自分の作品”と呼べるものでした。テリー・ジョーンズと共同監督した『モンティ・パイソン&ザ・ホーリー・グレイル』(1975年)の成功が、わたしにモンティ・パイソンから自由になる機会を与えてくれたのです。
ルイス・キャロルの詩「Jabberwocky」にあるナンセンスな言葉の数々がわたしの頭の中に奇妙で素晴らしいイメージを呼び起こし、それを映画にしたいと思いました。そして、中世を説得力のある世界として作ることは、わたしにとって不可欠でした。観客に、老朽化した世界の匂いを感じてもらいたかったのです。貧しく貪欲な商人、強大な鎧をまとった騎士、混乱した王や、王国を脅かす恐ろしい怪獣がいて、傾いた古代の建造物があり、狂った宗教家もいる。世界の信憑性が高ければ高いほど、コメディとしての完成度も高くなると思っています。
ですが、この映画は単なるコメディとしてだけではなく、アクションやロマンスがあるものにしたいと思っていました。とは言え、ハッピーエンドのおとぎ話のように見えつつ、アイロニー(皮肉)はたっぷり込めています。
わたしの頭の中にしか存在しない世界を説得力のある形で表現する技術と能力を持ち、その結果として世界中の観客に喜びを与えることができる、自分は本物の映画監督だと信じ始めたのは、『ジャバーウォッキー』を振り返ったときだったと思います。
わたしが皆さんのために楽しんで作ったように、ご覧になる皆さんがこの作品を楽しんでくださることを願っています。

■公開情報
『ジャバーウォッキー 4Kレストア版』
7月1日(金)より、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:テリー・ギリアム
製作総指揮:ジョン・ゴールドストーン
脚本:チャールズ・アルヴァーソン、テリー・ギリアム
出演:マイケル・ペイリン、ハリー・H・コルベット、ジョン・ル・メスリエール、ウォーレン・ミッチェル、マックス・ウォール、ロドニー・ビューズ、ジョン・バード、バーナード・ブレスロウ、テリー・ギリアム、ニール・イネス、テリー・ジョーンズ
配給:アンプラグド
提供:是空
1977年/イギリス/106分/アメリカンビスタ/5.1ch/DCP/原題:Jabberwocky/字幕:落合寿和
(c)1977 National Film Trustee Company Limited. All Rights Reserved.

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