『鎌倉殿の13人』最も反響があったのは上総の死 小栗旬&制作統括に聞く撮影裏
『鎌倉殿の13人』(NHK総合)がスタートして4カ月。物語は源平合戦におけるクライマックス「壇ノ浦の戦い」が描かれようとしている。
ここまでの第16回の放送を振り返った時に、最も視聴者から大きな反響があった場面と言えば、やはり第15回「足固めの儀式」にて、上総広常(佐藤浩市)が源頼朝(大泉洋)から粛清されるシーンだろう。
鎌倉殿こと頼朝を誰よりも愛し、忠義を誓っていた広常だったが、使い捨ての駒の御家人として、梶原景時(中村獅童)に斬りつけられ絶命する。「最も頼りになる者は、最も恐ろしい」という理由から、そして御家人たちに謀反を起こさせないようにするための見せしめでもあった。
北条義時を演じる主演の小栗旬は「あの日の現場は、この撮影をしてきた中でも数本の指に入るくらいピリッとしているムードではあったと思います」と振り返る。広常が反頼朝派の御家人たちの誘いに乗っていたのは、義時の頼みからだった。義時は頼朝との板挟みにあい、広常が殺されることを知りながら、その最期を見届ける。涙を流す義時を見ての、その全てを察したかのような表情は佐藤浩市にしかできない名演だ。
あくまで義時としてその現場にいた小栗は撮り終わった映像を観て初めて、こういう状況だったというのを感じたという。それは「自分からするといったい何がどうなっているのか分からない状態で観た方がいい」といった理由からだ。義時として目の前で広常が粛清されることは分かっているが、どのタイミングで、どのように殺されるのかまでは知らない。佐藤浩市、中村獅童、演出の保坂慶太が打ち合わせしていることはなるべく聞かないようにしながら本番に臨んだという。広常が義時に見せる最後の表情については、「こちらを向いて、少し笑顔を残す上総がいったいどういうメッセージを自分に送ったのだろうかということは悩みながら進んできましたね」とコメントしている。
制作統括の清水拓哉もこの第15回は特に多くのリアクションをもらった回だったようだ。それが子供たちからの声。Twitterだけでなく、知人のお子さんからも「上総おじちゃんが死んじゃった」と言っていたという連絡をもらったらしく、「そういうトラウマを植え付けたら申し訳ない」と前置きをしながら、「大河を観て英雄の死で悲しむ、小さな子供がいるのが我々としては嬉しい」と制作陣にとっての励みの声になっているようだ。