『元彼の遺言状』まさかの第2話で“完結” 次回から綾瀬はるか×大泉洋のバディが本格化か

 これはちょっと想定外の展開だ(事前には“オリジナルの展開”になるとしか言われていなかったはずだ)。4月18日に放送された『元彼の遺言状』(フジテレビ系)第2話は、前回のエピソードで描かれた、主人公・麗子(綾瀬はるか)の元彼である栄治(生田斗真)の死と彼の遺言をめぐってあぶり出される製薬会社一族の軋轢の物語に早々と終止符が打たれる。要するに、このドラマは第2話で原作の最後まで描き切ってしまったというわけだ。

 軽井沢の別荘に再び森川家の一族と関係者を呼び出した麗子。そこで彼女が提案するのは、クライアントである篠田(大泉洋)を犯人にするため、真犯人に名乗り出てもらい交渉の場を設けるという突拍子もないものであった。会社の株が暴落していることから一刻も早く幕引きを図りたい金治(佐戸井けん太)や、自分が栄治の遺体の第一発見者であることを告白する朝陽(森カンナ)。それぞれの思惑が交錯するなか行方知れずだった栄治の車が発見され、その中から遺言状の入った金庫も見つかる。そして麗子は、そこに収められた書類からある事実を見出すのである。

 麗子が見つけたのは、第1話の序盤で登場した栄治の元カノリストと、金庫の中にさらに鍵をかけて厳重に保管されていたDNA鑑定書。栄治の愛犬バッカスの主治医である堂上(野間口徹)が真犯人であることを自供し、栄治の元カノリストに名前が載っていながら相続を辞退していた一名が堂上の元妻であることが判明する。そしてDNA鑑定書は堂上の息子・亮と栄治が親子関係にあることを示すものだったという顛末だ。多少の違いはあれども、概ねこれは原作に即した結末といえよう。

 第1話の中盤の食事のシーンで、亮が右利きに矯正中であるという描写が描かれた。つまり栄治の左利きが、亮に遺伝したというわけだ。古い統計によれば、片方の親が左利きの場合、子に遺伝する確率は20%前後。それについてはともかく、他に“左利き”に関する描写でひとつ気になるものが。朝陽が栄治の遺体の左腕に注射痕があったと語り、自殺の可能性が浮上する。しかしすぐさま「左利きである栄治が左腕に(右手で)注射しない」という一点において否定されるのである。利き手による行動の違いが推理に用いられるミステリはこれまでにも多々あったが、左利きだからといって必ずしもすべて左手を用いるわけではない(たとえ無意識であっても)のだと、そろそろミステリ界隈に周知されてほしいところだ(と、左利きの人間として補足しておきたい)。

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