『持続可能な恋ですか?』は現代に寄り添う 上野樹里と考えたい“誰かと共に生きること”

 「持続可能」「環境にやさしい」「自分らしく」……そんなフレーズを最近よく耳にする。その言葉たちが持つ意味はなんとなくわかっていても、「それってどういうこと?」と改めて問われると、自分の言葉に落とし込めないということがある。それどころか、この変化の激しい昨今では、馴染みのある言葉についても「どういうことだろう?」と首をかしげてしまうことも少なくないのではないか。

 ごく当たり前のように使っている「恋」も「結婚」も「幸せ」も。改めて問われると、口ごもってしまう。価値観の多様化が進み、一人ひとりをしばりつけるしがらみからは解き放たれた感覚に。だが縛られないからこそ、今度はその本質的な意味を自分で探していく難しさがある。4月19日よりスタートする火曜ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)は、そんな今の時代に寄り添った作品となりそうだ。

 このドラマの主人公・沢田杏花(上野樹里)は、旅行代理店の前職時代に頑張りすぎてしまった自分を見つめ直して、ヨガインストラクターに転身した独身女性。だが、ヨガの精神的な教えを取り入れてもなお、実生活ではどこか煩雑になりがち。なぜか毎日余裕がなくて、しんどいという人間味あふれるキャラクターだ。

 何者かになりたくて、でも何が自分らしい生き方なのかもわからなくて。がむしゃらに突き進むうちに、自分自身を忙殺してしまう日々。もっと人にも自分にもやさしくありたいのに、できないことにもモヤつく。そんなふうに一度でも思ったことのある人なら、共感せずにはいられないだろう。

 恋もしたい、仕事も頑張りたい、必死になっているわけではないけれどいつかは結婚も……と、なんとなくやりたいことはあるし、どれも手に入れられたらベストだけれど、年齢を重ねていくスピード感を見誤ってしまうと、何かを取りこぼしてしまうような不安もある。それが「これが幸せ」という押し付けと同時に人生のロールモデルを手放した、現代人の抱えるジレンマだ。

関連記事