Netflix人気韓ドラ俳優が集結 済州島の住人たち描く『私たちのブルース』で過ごすひととき

 一番輝いていたあの頃の私。色あせない思い出と大好きだったあの人。今でもウニの目に映るハンスは誰よりも素敵で、ハンスの前で照れたウニの顔は高校生の時のままだろう。しかし、表向きは銀行支店長のハンスは、娘のゴルフ留学費用のために家を売ってもお金が足らず、借金先を探し続けるみすぼらしい生活を送っている。あれだけ稼いでいるウニは母親を早くに亡くし、家族を養うために結婚もせず、毎日を忙しく働いてきた苦労があった。

 美しい思い出は、時に現実を残酷なものにする。ハンスはウニにお金を借りようとするが、なかなか言い出せずにいた。初恋の人のまま見つめてくるウニの眼差しが、さらにハンスを惨めにさせるのだろう。

 けれど、今でも変わらずウニを「かわいい」と言うハンスと、おもしろくない人間になったと嘆くハンスに「今もカッコいい」と当たり前に断言するウニがいる。何気ない一言が、変わってしまったものを肯定してくれる。

 足の親指の爪が剥がれてしまったハンスと手の人差し指を切ってしまったウニ。お互いに手当てをするシーンからは、心の傷にも絆創膏を貼って、慰めあい励ましあっていく、これからの2人の関係性が表れているように見えた。

 ヒューマンドラマはロースタートではあるが、だからこそ何気ない場面にも注目してほしい。先ほどのウニとハンスのやり取りみたいに、ノ・ヒギョンが伝えるメッセージが見えてくるはずだ。また、イ・ジョンウォンが演じるウニの役柄が意外だったように、これから主人公となって登場する俳優たちのキャラクターや組み合わせの相乗効果も楽しみのひとつである。くすぐったくなるウニとハンスの高校時代の思い出もまだ覗いていたい。済州島でのゆるやかに流れる時間が、忙しない日々にいる私たちに、ほっと一息つけるひとときを与えてくれるのではないだろうか。

■配信情報
『私たちのブルース』
Netflixにて独占配信中
(写真はtvN公式サイトより)

関連記事