『ソニック・ザ・ムービー』続編、北米で前作超え大ヒット 大作が急速に消費される不安も

『ソニック・ザ・ムービー2』北米で大ヒット

 “超音速のハリネズミ”ソニック・ザ・ヘッジホッグが、2年ぶりに週末のハリウッドを駆け抜けた。4月8日~10日の北米興行収入ランキングを制したのは、『ソニック・ザ・ムービー』(2020年)の続編である『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』。ファミリー層の強い支持を得て、3日間で7100万ドルという好スタートとなった(製作費は9,000万ドル)。

 セガが誇る人気ゲームキャラクター、ソニック・ザ・ヘッジホッグを実写映画化した前作『ソニック・ザ・ムービー』は、ちょうど世界がコロナ禍に直面する直前にあたる2020年2月に北米公開され、3日間で5,801万ドルを記録。その後は映画館の閉鎖に見舞われながらも、北米累計興収1億4897万ドルのヒット作となった。今回の続編は前作をしのぐ初動とあって、コロナ禍の影響はいまだ大きいものの、スーパーヒーロー映画以外にもヒット作は生まれることを証明するものだ(むろん、本作もフランチャイズ作品ではあるのだが)。

 特筆すべきは、本作がドクター・ロボトニック役のジム・キャリーにとって過去最高のオープニングを記録した一作となったこと。これまでのNo.1は『ブルース・オールマイティ』(2003年)の6800万ドルだったが、実に19年ぶりの記録更新となった。キャリーは先日、「もう十分やった」と俳優業からの引退を示唆したことが話題を呼んだばかり。今後の活動は不明だが、本作がひとつのターニングポイントであることは確かだろう。

 本作は批評家からの評価は分かれているものの、Rotten Tomatoesの観客スコアは97%、出口調査に基づくCinemaScoreではA評価を獲得。特にキッズ層の支持が強く、12歳以下の子どもを対象とした調査では95%が「面白かった」、79%が「強く薦める」と回答している。

 『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』は北米に先駆けて3月末から海外公開が始まっており、すでに全世界累計興収は1億4100万ドルに到達。ただし、日本では4カ月後の8月19日に夏休み映画として公開される。音速のソニック、日本への帰還がずいぶん遅いのはどうしたものか……。

 それにしても、春の大作映画ラッシュは早くも大荒れと言っていい。ソニー製作のスパイダーマン・ユニバース作品『モービウス』は、公開2週目にして前週比−73.9%の急落を見せた。第1位の『ソニック』が7100万ドル、第2位の『モービウス』が1020万ドルだから、この溝はあまりにも深い。スーパーヒーロー映画は公開直後に観客が最も集まり、2週目には数字が大きく下がる傾向にあるが、『モービウス』は評価が芳しくないこともマイナスに作用しただろう。しかし先週も書いた通りだが、『モービウス』はこの程度の成績で良しとすべき作品ではない。

 こういう状況であるから、トップ10の数字がいささか寂しいことは否定できない。第4位はジェイク・ギレンホール主演&マイケル・ベイ監督の『アンビュランス』で、日本では3月25日に先行公開されたが、本国では辛酸をなめる結果となった。3412館という大規模公開ながら、3日間の興収記録は870万ドルとなっている。

 『アンビュランス』は『ソニック・ザ・ムービー』続編と同じく批評家よりも観客の評価が高い作品で、CinemaScoreではA-評価を獲得。製作費は4000万ドルと比較的低めだが、現時点での全世界累計興収が3117万ドルである以上、広報・宣伝費を含むコストの回収は難しいだろう。映画館でこそ真価を発揮するマイケル・ベイ印のアクション映画だが、広い客層の心をつかむことはできなかったということか。ただし主な客層は年長者の男性とあって、アクション映画ファンに刺さったことは確かだ。

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