『カムカム』から学ぶ英語学習 3世代を繋ぐ「ラジオ英語講座」のクライマックスは?

『カムカムエヴリバディ』から学ぶ英語学習

 いよいよクライマックスへと向かう『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)。3世代を繋ぐ物語の軸になるべきは「ラジオ英語講座」だ。

 初代ヒロインの安子(上白石萌音)が稔(松村北斗)の影響でコツコツと続けた英語講座は、稔亡き後も幼いるい(深津絵里)との絆を育む大切な時間となった。だがそれはいつしか、るいにとって母親との確執を象徴するものに。そんな様々な思いが渦巻くラジオ英語講座は、時を超えてるいの娘・ひなた(川栄李奈)が小学生の時に再登場する。そこでは家族の絆やひなたのエピソードと絡められながらも、ひなたの飽き性な性格によりあっさり退場。だが第19週で、実はそれ以来17年もの間、るいがコツコツとラジオ英語講座を続けてきたという衝撃の事実が発覚する。るいは今や、外国人観光客と流暢な英語で話せるまでになっていたのだ。

 一方で、現在の主役でありながら英語学習に躓いているのはひなただ。小学生の時に一念発起したにも関わらず挫折。失恋までしたものの、そこで気持ちを切り替えることもなくその後、英語には触れずに過ごしてきた。外国語どころか、ひなたの興味は自国文化のお侍さんにあったのだ。しかし今、映画村の再生のためにひなたは英語の重要性を再確認する。結婚のために貯めていた積み立てを切り崩し、高額な英会話学校に通い、一日も早く英語をマスターしようと思案している。

 しかし多くの視聴者が案じているように、高額な英会話教室に一時通っただけでは英語の上達は怪しいようにも。現に、安子やるいがあれだけの英語力を身につけるまでには十年以上の積み重ねがあったことが描かれてきたのである。小さい努力であっても、コツコツと続けることで花開くことを描写したシーンが2世代続いた後となると、どうにも不安がよぎるもの。

 実際に筆者も英語学習を続けてきて痛いほど身に染みるのが、自分が勉強しないことには何も始まらないということだ。当たり前の話だが、どんなに教室に通っても、授業以外の時間に予習、復習、追加課題などに意欲的に取り組まない限り、週に数回、数時間人から教わっただけでは、語学はなかなか体得できない。ひなたの学習スタイルで懸念するのは、ただ教室に通うことだけで英語ができるようになると信じてしまっているようにみえる点。あれだけ模範的な勉強スタイルを持った母がいながら、学習方法の相談を受けずにお金を払ってしまったことに少し心が痛む。

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