アニメ『進撃の巨人』総決算! 絶対の正義から相対の正義へ、心の壁は“氷解”するのか

 同じシリーズで制作会社が変わること自体は珍しい話ではない。『ワンパンマン』も第1期のマッドハウスから第2期はJ.C.STAFFへと移っている。ただ、『進撃の巨人』の場合は、評判だったアクションシーンを維持できるかといった声があがり、キャラクターデザインも浅野恭司から岸友洋へと変わって、雰囲気を保てるのかといった心配も出た。そのキャラクターについては、4年のインターミッションを挟んで、少しだけ大人になったエレンやミカサ、アルミンにすることで、ストーリーにマッチしたものとなった。

 アクションについても、『呪術廻戦』をはじめハイクオリティの作品を送り出し、評判を得ていたMAPPAだけあって遜色のないものを見せてくれている。『進撃の巨人 The Final Season Part 2』はこれからクライマックスへと向かい、世界を地ならしするために進撃を続ける巨人たちや、すべての元凶とも言えるエレンを相手にした壮絶なアクションシーンが繰り広げられることになる。その作画がどのようになるかが、今は楽しみで仕方がない。

 物語についても、憎しみの連鎖という人類にとって容易にはぬぐえない心の壁が、少しずつ壊されていくさまが描かれ感動を誘っている。姉と慕うサシャを殺したガビに激しい憎しみを抱いていたカヤが、巨人に襲われていたところを助けてくれたガビと並んで歩く第81話「氷解」のシーンがその象徴。ここから先、敵対していたミカサたちエルディア人と、ライナーやピークといったマーレ側のエルディア人戦士たちが、エレンという共通の敵を前にお互いの心の壁を崩していく必要が出てくる。それは可能なのか? 見守りたい展開だ。

 第81話「氷解」ではラストで、女型の巨人と判明していたアニの硬質化が解かれた。TVアニメの第17話「女型の巨人~第57回壁外調査(1)~」から第18話「巨大樹の森~第57回壁外調査(2)~」にかけて大暴れして、調査兵団の団員を殺した女型の巨人は、第25話「 壁~ストヘス区急襲(3)~」でエレンの進撃の巨人に敗れて眠りについていた。復活したアニがこれからの展開で果たす役割もまた、憎しみあっていた者たちを繋げるものとなるだろう。

 瀕死となったリヴァイは生きているのか。ファルコを連れ去ったコニは何をしようとしているのか。何より世界の運命は。気になることはたくさんある。エルディア人以外の人類も含めた共闘が可能なのかという、さらに大きい心理的な壁も待っている。一方で、立ちはだかる巨人たちという物理的な壁も存在するストーリーを、1話1話追っていくのが『進撃の巨人 The Final Season』の見どころだ。

 原作のコミックはすでに完結していて、読んだ人には分かっている展開かもしれないが、表情に声が付き、動きもついたアニメのキャラクターたちを見ることで、心の壁を壊そうと迷い、葛藤する大変さであり大切さに迫れるはずだ。

■放送・配信情報
TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』
NHK総合にて、毎週日曜24:05〜放送
キャスト:梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、朴ロ美、神谷浩史、子安武人、花江夏樹、佐倉綾音、沼倉愛美、増田俊樹、松風雅也
原作:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
総作画監督:新沼大祐 / 秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:根本邦明
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基、池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:川越 恒
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

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