『ジャッカス』新作、TikTokへのアプローチで北米興収1位 笑いが閉塞感を吹き飛ばす?

 ファンの世代交代が鮮やかにおこなわれたという意味でも、いわゆる長編映画の文脈とは異なる観られ方を許容するという意味でも、この『Jackass Forever』と、コロナ禍以後最大のヒット作である『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』には奇妙な共通点がある。閉塞感を吹き飛ばす底抜けのヒーロー映画&コメディ映画という点でも、ともに時代のニーズにうまく応えたことは間違いないだろう。映画版『ジャッカス』はすべて日本でも公開されてきたため、本作も劇場公開が期待される。

 『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』以降に北米興行を騒がせた作品としては、同じくリバイバルブームの一端を担った『スクリーム』シリーズの最新作『Scream(原題)』があった。しかし同作は、1週目こそスマッシュヒットだったものの、2週目以降に少なからぬ下落を続け、4週目となった今週は前週比ー34.5%の473万ドル。『Jackass Forever』も次週以降の推移が気にかかる。

 なお、今週の第2位は、『インデペンデンス・デイ』シリーズで知られるローランド・エメリッヒ監督によるディザスター映画『Moonfall(原題)』。3日間で1000万ドルという非常に厳しいスタートで、作品の評価も決して高くはないが、一部から熱狂的に支持されているのもエメリッヒ作品の特徴だ。2022年秋にキノフィルムズ配給で日本公開も決定済み、作品の真価は追って確かめよう。

 第10位には、フランス・カナダ合作の動物映画『The Wolf and the Lion(原題)』がランクイン。故郷のカナダに帰った女性がライオンと狼の子どもに出会い、ひとりと2匹でしばしの時間を過ごす物語だ。監督は『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』(2018年)のジル・ド・メストル。そのほか、第19位には『テルマ』(2017年)のヨアキム・トリアー監督最新作『The Worst Person in the World(原題)』。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、主演女優賞(レナーテ・レインスベ)を射止めたブラックコメディだ。全米4館での公開だが、すでに米アカデミー賞での健闘も期待されている。

北米映画興行ランキング(2月4日〜2月6日)

1.『Jackass Forever(原題)』
2350万ドル/3604館/累計2350万ドル/1週/パラマウント

2.『Moonfall(原題)』
1000万ドル/3446館/累計1000万ドル/1週/ライオンズゲート

3.『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
960万ドル/3600館/累計7億4895万ドル/8週/ソニー

4.『Scream(原題)』
473万ドル/3227館/累計6894万ドル/4週/パラマウント

5.『SING/シング:ネクストステージ』
417万ドル/3266館/累計1億3957万ドル/7週/ユニバーサル

6.『キングスマン:ファースト・エージェント』
118万ドル/1910館/累計3580万ドル/7週/20世紀スタジオ

7.『Redeeming Love(原題)』
101万ドル/1797館/累計807万ドル/3週/ユニバーサル

8.『American Underdog(原題)』
80万ドル/1470館/累計2588万ドル/7週/ライオンズゲート

9.『355』
70万ドル/1710館/累計1417万ドル/4週/ユニバーサル

10.『The Wolf and the Lion(原題)』
67万ドル/800館/累計67万ドル/1週/Blue Fox Entertainment

(※本記事の興行収入データは2月7日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや
誤差が生じる可能性があります)

参照記事

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2022W05/
How ‘Jackass Forever’ Thrived In The TikTok Era With A $23M+ Opening & ‘Moonfall’ Fell Out Of Orbit At The Weekend Box Office – Sunday Postmortem
‘The Worst Person In The World’ Bests Arthouse In Upbeat Weekend For Indie Film –Specialty Box Office

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