白石聖が称える安田顕の“曲線”とは? 不思議な青春ドラマ『しもべえ』の撮影を振り返る

白石聖は“空間把握能力”に長けている?

ーーしもべえは中年のおじさん、ユリナは今どきの17才の女子高生の役ですが、ビジュアルで意識しているポイントはありますか?

安田:一世風靡セピアさんのような80年代の昭和の香りとちょっとした違和感は意識しました。マイケル・ジャクソンが寸足らずでもかっこいいんだけど、それをマネしたら面白くなっちゃう。あとは、ハイソックスが長いとか肩パッドとか。そういう絶妙なラインで見た目は考えた気がします。

白石:ユリナは話数毎にピン留めの色が変わっています。あとは私が女子高生だった時、ふくらはぎまであるソックスはあまり履いていなくて。だから、衣装合わせでは短めの靴下を選びました。そっちの方が今っぽいかなと思って。

安田:そうなんだね。僕は靴下を伸ばしたいと思って、48歳になって生まれて初めてソックタッチを使ってます。実際はそんなに見えないとは思いますよ。気分の問題ですね。

白石:ふふふ(笑)。

ーー共演されてのお互いの印象は?

安田:空間把握能力が長けている気がします。現場での白石さんしか知らないですが、ベタついてない。さらっとしてるなと(笑)。これは今後、仕事をする上ですごく大事なことだと思いますし。

白石:コミュニケーションがそこまで取れてはいないので、安田さん自身がどんな方なのかはまだ分からないですが、しもべえというキャラクターをよりチャーミングに見せる提案を監督にしている印象があります。安田さんだからこそ、魅力的なしもべえというキャラクターを演じられているのではないかと。

ーー撮影した中で印象的だったシーンはありますか?

安田:バスタオル1枚で部屋をうろつくシーンがあるんですが、携帯電話で盗撮をしてる時に「いい構えですね」って褒めてくれました。半裸のおっさんが構えてたんですよ?

白石:曲線が素晴らしかったので(笑)。

安田:20代の女性がね、40代のおっさんの半裸のフォルムを褒めてくれた時は嬉しかったんですけど、これたしかNHKでやるんだよなって……(笑)。

ーー2021年の2人は映画にドラマにと様々な役柄で活躍されてきました。

白石:私は今年(2021年)23歳になりましたが、個人的に毎回女子高生の役がくる度にこれが最後なんじゃないかなと思いながらやらせていただいています。映画『胸が鳴るのは君のせい』でも女子高生を演じさせていただいたので、来年はもっと精進して、人ではない役がやってみたいですね。

安田:いろんな役ができるというのはすごく嬉しいことです。舞台というのは無限で、60歳になっても70歳になっても赤ちゃんから子供から女の人、男の人、LGBT、雨、風、太陽、宇宙、海、空気まで、全部演じることができるんです。でも、映像となるとなかなかできないんですね。今、白石さんの世代が演じていることは僕には2度とできない役だけど、今この歳だからしもべえという役を振ってくださったプロデューサーさんがいる。その年代に応じたものができている。2021年は宇宙人と犬をやったので、2022年はなにをやろうかな。なんだろうな。なにをやればいいのかな。

ーー安田さんが今、表現したいことはなんですか?

安田:手話に変わる新しい手先の何かができたらと思っています。今、現場で矢田(亜希子)さん(ユリナをひとりで育ててきたシングルマザー・鴨志田康子役)と一緒なんです。「セリフがないのきついわ」「そうでしょ」って話していて。矢田さんは『愛していると言ってくれ』(TBS系)で手話で感情を伝えていたから。その代わりの何かができないかなと考えています。今回、答えには至らないと思いますが、どこかで自分だけの表現の仕方が見つかればいいなと思って。『しもべえ』はそんなきっかけを与えてくれたドラマでもありますね。

■放送情報
ドラマ10『しもべえ』
NHK総合にて、毎週金曜22:00〜22:44放送(全8回)
出演:安田顕、白石聖、金子大地、矢作穂香、内藤秀一郎、矢田亜希子
原作:村田ひろゆき『しもべえ』
脚本:荒木哉仁、遠山絵梨香
音楽:大友良英
制作統括:谷口卓敬(NHK)、小林宙(共同テレビジョン)
演出:山内大典、紙谷楓
写真提供=NHK

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