野原位監督作『三度目の、正直』予告編&ビジュアル公開 黒沢清から絶賛コメントも
野原位監督作『三度目の、正直』の公開日が2022年1月22日に決定し、あわせてメインビジュアルと予告編が公開された。
本作は、黒沢清監督『スパイの妻』、濱口竜介監督『ハッピーアワー』の共同脚本を担当した野原の劇場デビュー作。『ハッピーアワー』で主役のひとり純を演じた川村りらが主演を務める。川村のほか、多数のキャストが『ハッピーアワー』から引き続き出演し、神戸を舞台に撮影された。また、神戸出身のラッパー・小林勝行が俳優に初挑戦。自身を投影した役柄で、劇中でもライブを披露する。
月島春は、パートナーの連れ子・蘭がカナダに留学し、言い知れぬ寂しさを抱えていた。そんな時、公園で記憶を失くした青年と出会う。過去に流産も経験している春は、その青年を神からの贈り物と信じ、今度こそ彼を自らの傍で育てたいと願う。一方、春の弟・毅は音楽活動を続けている。その妻・美香子は精神の不安を抱えながら、4歳の子を育て、毅の創作を献身的に支えていた。それぞれの秘めた思いが、神戸の街を舞台に交錯する。
公開されたメインビジュアルでは、中央にトレンチコートを来た春が、街の雑踏の中で立ち尽くす様子が切り取られている。上部には、記憶を失くした青年・生人の姿が。そして下部には、美香子と、その夫である毅が車中にいるシーンが採用されており、「今度こそ、自分を生きる。」というキャッチコピーが配置されている。
予告編は、冒頭で青年が公園で倒れているところに、春が近寄り声をかけるシーンから幕をあける。記憶を失った様子のその青年を、春は家に連れていく。記憶を失くし、自分の名前も分からないその青年を、春は「生人」と名付け、自分の傍に置こうとする。続くシーンでは、春の弟、毅と妻の美香子、2人の子供との生活が描かれる。毅は「体調大丈夫か?」と妻の様子を気にかけてはいるものの、心療内科では無理して、家族、毅を支えようとする献身的な姿を医者にたしなめる姿も同時に描かれる。そしてシーンは春に戻り、生人に向かって、7年間一緒に暮らした連れ子の蘭がカナダに留学して、その寂しさが拭えないのだ、と語るが、その話を遮るように、生人が「気持ち悪い」と春に告げる。錯綜するそれぞれの関係は、果たしてどのように結末を迎えるのか。
本作について濱口監督は、東京国際映画祭のデイリーペーパー(10月31日付け)で「主演の川村りらさんの感情に心を鷲掴みにされてしまい、日本でここまでジョン・カサヴェテスに近い作品を完成させたことに嫉妬を禁じ得ませんでした」と賛辞を贈った。また、野原監督が共同脚本を務めた『スパイの妻』の黒沢清監督は、「普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる」とコメントを寄せた。
黒沢清(映画監督)コメント
地域コミュニティがとうにマボロシと化した地方都市で、普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる。何かが確実に崩壊している。しかし同時に、希望もそこにある。
■公開情報
『三度目の、正直』
2022年1月22日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
出演:川村りら、小林勝行、出村弘美、川村知、田辺泰信、謝花喜天、福永祥子、影吉紗都、三浦博之
監督・編集:野原位
脚本:野原位、川村りら
撮影監督:北川喜雄、飯岡幸子
助監督:鳥井雄人
音楽:佐藤康郎
制作:三宅陽子
エグセクティブ・プロデューサー:原田将、徳山勝巳
プロデューサー:高田聡
製作:NEOPA,Inc
配給:ブライトホース・フィルム
2021年/112分/ビスタ/カラー/5.1ch
(c)2021 NEOPA Inc.
公式サイト:sandome.brighthorse-film.com