有村架純「演じるときには普通の人でありたい」 『前科者』などWOWOW出演作を語る

有村架純、WOWOW出演作を語る

 映画・ドラマ・舞台等々、さらなる勢いを見せつけた2021年の有村架純。彼女が次に挑むのは、ドラマ・映画と展開するプロジェクト『前科者』だ。既にドラマ版である『WOWOWオリジナルドラマ 前科者 -新米保護司・阿川佳代-』(全6話)がWOWOWの放送・配信でスタートし、年をまたいだ2022年1月28日には映画版『前科者』が劇場公開。

 本作は、犯罪を起こした“前科者”の社会復帰を支える無給の公務員「保護司」を題材にした物語。保護司という職を選んだ阿川佳代(有村架純)が、保護観察対象者たちと向き合うなかで成長していく。複雑な過去を抱えつつ、今を懸命に生きる佳代を演じきった有村の力演はもとより、石橋静河、大東駿介、古川琴音といった保護観察対象者に扮した演技派俳優陣との競演にも注目だ。

 今回は、『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』放送・配信開始を間近に控えたタイミングで、有村にインタビュー。これまでのWOWOW作品との歩みから、最新作の舞台裏まで語ってもらった。演技に、作品に、そして人に向き合い続ける有村の思慮と信念が滲む言葉を堪能いただきたい。(SYO)

WOWOWの作品はいつしか憧れに

有村架純

――WOWOWの作品に対して、「すごいものが観られるから気合を入れて観よう」と思う方は多いと思います。有村さんはどんなイメージを抱かれていますか?

有村架純(以下、有村):私が初めてWOWOWの作品を観させていただいたのが、高良健吾さんが主演の『連続ドラマW 罪と罰 A Falsified Romance』(2012年)でした。ダークサイドを描く作品で、暗くて重くて、でも「すごい!」と思ったんですよね。WOWOWの作品は質が高いという印象はその当時からあって、自分もいつしか憧れを持つようになりました。

――『ドラマW チキンレース』(2013年)から『前科者 -新米保護司・阿川佳代-』まで、有村さんご自身もWOWOWの作品に多数出演されていますね。

有村:プロデューサーの方の存在も大きいですね。『チキンレース』も『連続ドラマW そして、生きる』(2019年)もそうでしたが、参加するたびにWOWOWさんが持っている熱量を感じています。

――『WOWOWオリジナルドラマ 有村架純の撮休』(2020年)はその後、竹内涼真さん、神木隆之介さんと主演を代えてシリーズ化されていきましたね。

有村:そうですよね。最初は、そんなことは一切言っていなかったんです。お陰様で好評だったみたいで、シリーズ化につながったんでしょうね。自分もですが、役者さんにとってはすごく有意義な時間になると思います。こんなに何人もの監督や脚本家の方と一緒にお仕事することなんて絶対あり得ないですし、すごく面白い企画に参加させてもらったなと思います。

有村架純の撮休
『WOWOWオリジナルドラマ 有村架純の撮休』(c)「有村架純の撮休」製作委員会

――『そして、生きる』は、『ひよっこ』(2017年/NHK総合)や『姉ちゃんの恋人』(2020年/カンテレ・フジテレビ系)の岡田惠和さんが脚本ですね。

有村:岡田さんも自分を信用して本を書いてくださったので、私はそれに応えるだけだなと思いました。阿吽の呼吸ではないですが、信じてくれているんだろうなという想いをすごく感じていましたね。

――本作は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年/フジテレビ系)、映画『ナラタージュ』(2017年)に続く坂口健太郎さんとの共演作でもあります。

有村:岡田さんの脚本で、坂口さんもいて、何も怖いことないと思っていたのですが、(主人公の)瞳子に待ち受けている運命があまりにも過酷すぎて、そりを乗り越えるために気力と体力との戦いの日々でした(笑)。

――確かに、東日本大震災での被災を皮切りに、瞳子には様々な試練が畳みかけます。

有村:演じている身からしても、逃げたくはなりましたね(笑)。一山越えてもまた一山あって……の連続だったので「私にはもう越えられない!」と撮影中に何度も思いました。瞳子と一緒に苦しんだ思い出があります。その中で助けられたのは、坂口さんや知英さん、岡山天音くんといったキャストの皆さんや月川翔監督、撮影監督の山田康介さんの存在です。みんなに助けられてなんとか終えられました。

劇場版 そして、生きる
『劇場版 そして、生きる』

――有村さんは市井の人物をとても好演する印象があります。地に足のついた、生活感が伝わってきて。

有村:ありがとうございます。私には高貴な役は似合わないなって、自分でも思います(笑)。舞台上に立たせていただいているときは衣装やメイクの力を借りて何とか立っていますが、そんなに華やかな人間ではないと思いますし、演じるときには普通の人でありたいと考えています。オーラというか芸能人らしさみたいなものは一切なくていいかなと思いますし、そっちのほうが自分には合っているんじゃないかな? と感じます。

――となると『連続ドラマW コールドケース3 〜真実の扉〜』(2020年/WOWOW)で演じられた往年の大女優という役どころは、ご自身の中でもチャレンジでしたか?

有村:はい。私にそんな銀幕スターみたいな役どころが来るとは思わなかったですし、「どうしよう……」となりました(笑)。自粛明け1本目でもあったんですよね。3カ月現場を休んでいたこともあって、すごくソワソワしてしまって。うまくできたかはいまだにわかりませんが、挑戦させていただいてよかったと思います。

コールドケース3 〜真実の扉〜
『連続ドラマW コールドケース3 〜真実の扉〜』(c) WOWOW/Warner Bros. Intl TV Production

――有村さんが出演されたエピソードは、シリーズ史上初となる35ミリの白黒フィルムで撮影されたと伺いました。

有村:そうですね。そういった意味でも、印象的な撮影でした。

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