『ウエスト・サイド・ストーリー』北米1位も苦戦 ミュージカル映画の不発が続く?
なお、2021年はミュージカルを映画化した作品の公開が相次ぎ、映画独自の作品も含めれば、近年まれに見るほどの“ミュージカル映画ラッシュ”となった。しかし、興行的にはどの作品も苦戦を強いられ、現代ブロードウェイ・ミュージカルの人気作品を映画化した『ディア・エヴァン・ハンセン』も初動記録は3364館で744万ドル。業界がコロナ禍からの回復傾向にある現在、映画館に足を運ぶ主な客層とミュージカルの相性が良くないということだろうか。『Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~』や『tick, tick... BOOM!:チック、チック…ブーン!』、『シンデレラ』などは配信リリースであり、数字面の実情はわからない。
今後、現在の状況を基にミュージカル映画の興行的ポテンシャルが評価された場合、劇場で観られることが大前提であるブロードウェイ・ミュージカルを映画化する際、逆に劇場ではなく配信でのリリースが有力視されるという“ねじれ”も起こりうるだろう。現に、舞台の上演を収録した映画『ハミルトン』(2020年)や『カム・フロム・アウェイ』、『ダイアナ: ザ・ミュージカル』は、コロナ禍において配信限定のリリースとなった。しかし「舞台を自宅へ」というコンセプトならば収まりはいいが、作品受容のあり方としては十分とは言えない。
ちなみにミュージカル映画としては、同じくディズニーのアニメーション作品『ミラベルと魔法だらけの家』が健闘中。同じくアニメーションのミュージカル映画としては、12月22日に『SING/シング:ネクストステージ』が北米公開される。『ウエスト・サイド・ストーリー』の強敵は、おそらく『SING/シング』ということになりそうだ。
北米映画興行ランキング(2021年12月10日~12月12日)
1.『ウエスト・サイド・ストーリー』
1050万ドル/2820館/1週/20世紀スタジオ
2.『ミラベルと魔法だらけの家』
942万ドル/3750館/累計7134万ドル/3週/ディズニー
3.『ゴーストバスターズ/アフターライフ』
710万ドル/3815館/累計1億1200万ドル/4週/ソニー
4.『ハウス・オブ・グッチ』
406万ドル/3407館/累計4103万ドル/3週/UAR・MGM
5.『エターナルズ』
310万ドル/3030館/累計1億6121万ドル/6週/ディズニー
6.『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』
165万ドル/2572館/累計1585万ドル/3週/Screen Gems
7.『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』
132万ドル/2840館/累計4770万ドル/5週/パラマウント
8.『Christmas With the Chosen(原題)』
129万ドル/1450館/累計1343万ドル/2週/Fathom Events
9.『DUNE/デューン 砂の惑星』
85万ドル/948館/累計1億621万ドル/8週/ワーナー
10.『ヴェノム/レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
85万ドル/1003館/累計2億1205万ドル/11週/ソニー
(※本記事の興行収入データは12月13日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります)
参照記事
・Domestic 2021 Weekend 50|BOX OFIICE Mojo
・‘West Side Story’ Isn’t Kicking Up With $10M+ Opening: What That Means Right Now During Another Pandemic Holiday – Sunday Update|DEADLINE
■公開情報
『ウエスト・サイド・ストーリー』
2022年2月11日(祝・金)全国ロードショー
製作:監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー
作曲:レナード・バーンスタイン
作詞:スティーヴン・ソンドハイム
振付:ジャスティン・ペック
指揮:グスターボ・ドゥダメル
出演:アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、マイク・ファイスト、デヴィッド・アルヴァレス、リタ・モレノ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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