世良公則、『カムカム』だから引き受けた音楽家の役 「10代のころを追体験しているよう」
毎週月曜日から土曜日まで(土曜日は1週間の振り返り)放送されているNHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。本作に出演中の世良公則よりコメントが寄せられた。
本作は、昭和・平成・令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描く物語。京都・岡山・大阪を舞台に、時代を超えた愛すべきヒロインたちの日常に寄り添っていく。
世良が演じるのは、こだわりのコーヒー、そしてジャズが流れる喫茶店「Dippermouth Blues」を営む柳沢定一。ジャズをこよなく愛し、海外のめずらしいレコードを数多く集めている。「Dippermouth Blues」は、安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)の思い出の場所であり、岡山に戻ってきた安子を温かく見守っている。
世良は朝ドラへの出演は本作が3作目。出演にあたっては、「“朝ドラ”は、日本中の人たちの朝の始まりとなるドラマです。そしてコロナ禍の2年間、いろいろな思いをされている方も多いので、清々しい気持ちで1日のスタートをきれる作品になれるよう意識しています」とコメント。
柳沢は稔にジャズの素晴らしさを伝えた音楽好きな人物。自身もミュージシャンだからこそ、これまで音楽に関わる人物は意識的に受けないようにしていたと世良は語る。
「どうしてもプロのミュージシャンである世良公則の部分が出てしまい、それが芝居をする上では邪魔となるのでずっとお断りをしてきたんです。ですが『カムカムエヴリバディ』は戦争という時代のなかで、英語や西洋の音楽など時代的には相容れないものを題材にしていると聞き、とても興味をもちました。柳沢定一という男は、戦時下でも敵国音楽であるジャズを愛した人間。クラシック音楽とは違う西洋の音楽、とくにアメリカの音楽に憧れるファーストコンタクトの世代です。僕自身も西洋の音楽に憧れて楽器を手にして、バンドを組んでいるので、僕の10代のころを追体験しているようです。そういった意味では共通点はありますね」
また、ヒロインの安子を演じる上白石萌音については、「安子ちゃんは、時代や自分の置かれている逆境をも包み込んでしまう強さがあり、さらにその強さをふんわりと包みこんでしまう『おはぎのような優しさ』も兼ね備えています。上白石さんもそういった意味では似 ていますね。撮影中でもカメラの回っていないところでも凛としています。力んでいるところもなくて、笑顔で柔らかく接してくださいます。“朝ドラ”のヒロインは過酷なスケジュールですから、ともすれば休みたいだろうなと思うんですが、いつもちゃんと僕らの雑談に付き合ってくれていますから、とても優しくて強いひとなんだろうなと思います」とその人柄を絶賛した。
最後に改めて本作へ出演できたことについて、「音楽や映像、文化芸術というものがあるからこそ人間です。それを切り離してしまったら、人としての優しさや人を思いやることを忘れてしまう。特にコロナが感染拡大して、ふだんの日常では現れないような人間の精神状態が表面上にたくさん現れましたよね。そういうものを癒したり溶け合わせたりするのはやはり芸術の力なんです。毎朝、皆さんが楽しみにしてくださるという作品に参加できたということは、エンターテインメントの世界の隅っこにいる人間としてはとても意義のあることだと思っています」とコメントを寄せた。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK