山谷花純、憧れだったドラマのヒロインを経て目指す場所 「マルチに活躍できる女優に」

 講談社『BE・LOVE』で連載されたモリエ サトシの同名漫画を古川雄大主演でドラマ化した『私の正しいお兄ちゃん』が動画配信サービスFODにて配信中だ。大学生の理世がアルバイト先で、両親の離婚のため生き別れになった兄に似た面影を持つ海利という青年に出会うところから始まる本作。眠れないという海利に肩を貸すうちに理世は海利に惹かれていくが、あるきっかけで「海利は殺人犯なのでは?」という疑惑が浮上する。

 ヒロインの理世を演じたのは、女優歴13年目の山谷花純。憧れだったというラブストーリーのヒロインを演じた経験や、芝居への熱い思いを語ってくれた。【インタビューの最後には、コメント動画&サイン入りチェキプレゼント企画あり】

「ヒロインや主役をずっと目標にしていました」

ーー出演発表の際に「ラブストーリーのヒロインに憧れていた」とコメントされていましたが、役に決まったときは嬉しかったですか?

山谷花純(以下、山谷):ものすごく嬉しかったです。ドラマのヒロインは今回が初めてだったのですが、ずっと追いかけてきた目標であり夢でもあったので、こうやって実現できたことは本当に感無量でした。長年追いかけてきたことがやっと達成できたなと、ちょっと安心したところもありました。20代前半のうちに叶えることができてよかったです。

ーー2008年に女優デビューしてから今年で芸歴13年目になりますが、やはりドラマのヒロインという目標は大きかった?

山谷:ヒロインって、ただ目立つ存在であるだけでなく、ひとつの役を長い時間演じることができるポジションだと思うんです。私はお芝居が大好きだからこそ、長い時間現場にいたいと思うので、ヒロインや主役をずっと目標にしていました。映画と違って、ドラマは気軽にたくさんの人に観ていただけるものじゃないですか。やっぱりものづくりって、出来上がって完成ではなく、多くの方に観ていただくことによって価値が生まれるものだと思っているので、そういう意味でもドラマのヒロインには強い憧れがありました。

ーー撮影は割と最近、今年の7月ごろに行われたそうですね。

山谷:そうですね。怒涛の日々で、あっという間に7月が終わったような感覚でした。撮影が終わってから、すごく充実した撮影期間だったんだなと気づきましたね。

ーー『私の正しいお兄ちゃん』という作品タイトルとサスペンス色の濃いドラマの内容がいい意味でギャップがあり、予想がつかないドラマになっていますね。

山谷:原作を知らない方は「この話はどういう結末を迎えるんだろう」というような、なかなか予想がつかない作品になっているんじゃないかと思います。今回は特殊な形ではあるんですけど、恋愛は何か障害があった方が盛り上がったりすると思うので、海利と理世の前に立ちはだかる壁が高ければ高いほど、2人の愛が深まっていくんだろうなということは、原作を読んでいてすごく思いました。

ーー撮影を通して、海利と理世の関係性をどのように思いましたか?

山谷:特に恋愛に関しては、常識を飛び越えて、当人同士の中で成立する関係性があるんだなと感じました。それと、人は本当に脆い存在で、誰かに支えてもらったり愛してもらったりすることによって、初めて自分に自信が持てたり、明日を生きる活力を得られたりするんだなということを、この作品を通して改めて思いましたね。

ーー王道のラブストーリーとはまた違う面白さがありますよね。

山谷:ありきたりなラブストーリーとはまたちょっと違う形で描かれているからこそ、いい意味で予想を裏切られる展開が続いていきます。たくさんドラマを観ている方は、ラブストーリーだと特に先の展開がある程度予想できてしまうところがあると思いますが、そうはさせないような物語の構成になっていると思います。

ーー現実的にはなかなか起こり得ない要素も盛り込まれていましたが、演じる上ではいかがでしたか?

山谷:自分が経験したことのないことばかりで、想像の中でしか役作りはできなかったんですけど、やっぱり理世というキャラクターの力は大きくて。相手が海利だったから成立した関係でもあるのかなとは思いました。

ーー理世に共感できる部分はありましたか?

山谷:モノローグがすごく多い作品で、本当は相手に言いたいことを言えない自分の中の言葉の葛藤だったり、行動の選択に関しては共感する部分がありましたね。私自身もそういうことが多くて、仕事の場合は割とハキハキと物事を言えるのですが、プライベートで人と話すときは、自分の言葉を口に出して言うことがあまり得意ではなかったりして。映画『インサイド・ヘッド』のように、心の中で自問自答して、やっと口に出せるところがあるので、そういう面は自分自身と似ているなと思いました。

ーーそれを言うことによって相手がどういう気持ちになるかを考えてしまうというか。

山谷:そうですね。相手の目ばかりを気にして過ごしているから、そういう考え方を持ってしまうのかなと。“人に嫌われたくない”という思いが強いんだと思います。かと言って、“好かれたい”とは思わないんですけど(笑)。その塩梅が難しいところですね。

ーー海利役の古川雄大さんとは今回が初共演でしたが、実際に共演されていかがでしたか?

山谷:古川さんはすごく居心地のいい方でした。纏っている空気感が“近すぎず離れすぎず”みたいな絶妙な距離感だったので、私自身も自然体でいることができました。共演させていただく前は、“ミュージカル界のプリンス”と呼ばれていることもあって、ちょっとナルシストっぽいイメージがあったんですよ(笑)。

ーー“プリンス”というのは確かにそういうイメージがあるかもしれません(笑)。

山谷:でも実際はもちろんそんなことはなくて、とても素朴な雰囲気の方でした。古川さんの方が年上なんですけど、すごく少年のような方というか。そのギャップに驚きましたね。最初の頃、話していくうちに古川さんが人見知りだということを知ったんですけど、自分自身が人見知りということもあって、1回壁をぶち破ってしまったら、そこから距離が縮まるのは早いんだろうなと思って。撮影を重ねるごとに、理世と海利と同じように、私たちもちょっとずつ話す内容や会話が増えていって、距離を縮めることができたように思います。

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