細田佳央太「“一生懸命にやる”はブレずに」 役作りへのスタンスとブレイク後の心境を語る

『町田くんの世界』から2年が経った今、振り返ってみて

ーー細田さんご自身のご活躍についても聞かせてください。『町田くんの世界』で主演を務めて以降、様々な作品に出演されてきましたが、ご自身で振り返ってみて改めてどう感じますか?

細田:たぶん、この2年間でいろいろな作品に出られたことは、運がいいし、この時期だけ切り取ったらたぶん順調の部類にいることはすごく感じています。毎回、節目節目で大きな作品に巡り合えているという自覚は強くありますが、だからこそあぐらをかいてはいられないし、当たり前とも思えない。ずっとそんなことを思いながらではありましたね。それこそ『町田くんの世界』のときに鍛えられて「調子に乗るなよ」と言われてきたので、今までもこれからも調子に乗らないようにしたいです。自信を持つことは大事だけど、おごらないように、とは思っています。一つ一つの作品で自分がきっと何かしらの成長はできているんだろうなと感じているし、新しい人と出会えることも多いので、楽しみつつそれが貴重なことだと噛み締めて歩んできました。マインド的なことで言うと、『町田くんの世界』のときから“一生懸命にやる”という信条はブレずにやっているつもりです。その中で『子供はわかってあげない』で共演した上白石さんのお芝居を見て、「自分ももっとこうならなきゃいけない」ということを学びました。

ーー『ドラゴン桜』では発達障害の生徒・原健太を好演し、新ドラマ『恋です!』では全盲の生徒・青野陽太を演じています。毎回多様な役に挑戦されて、増量や減量などを含む役作りをしっかりされている印象ですが、ご自身の中では毎回どのようにアプローチしているのでしょう?

細田:大したことはしていなくて、僕だけがやっているような特別なことはないと思います。当然、体に何かを抱えている役をやるときはそれについて絶対調べますが、きっとそれはみんなやっていることなので。頭の中で考えるよりは、基本文字に起こすようにしています。頭の中で思っているだけだと、どこかで矛盾が生じたり、もともとの考えた方と違った台詞やシチュエーションがきたときに影響を受けたりする。それがとても苦手なので、自分の中で一本の軸は持っておきたいんです。

ーーロジカルなんですね。

細田:不安になるんですよね。結構僕自身、授業や苦手な教科で一気に説明されると理解できなくて。だから自分でかみ砕いて、わかりやすく書く癖がついて、その延長線なのかな。なので、本の中でも「なんだろうこれ、この台詞どういうつもりなんだろう」と思ったら、その候補をバーっと書いて、その中で一番しっくりするものを選んだりすることが多いです。

ーー役や周辺のものを、しっかり自分の中で落とし込んで捉えているからこそのブレなささなんですね。

細田:撮影当日に現場入りしてから、「え、ちょっと弱くない?」と言われてしまうのも嫌だし困るので、そうならないためにある程度は頭の中で役は作っていきたいです。それで最初のスタートダッシュに成功すると、やっていくうちにどんどんさらに形になっていくのは『ドラゴン桜』でも経験しました。周りの方と一緒に合わせたときもそうだし、ドラマでは話数が進むにつれ、映画だったら撮影時間が経つにつれ、馴染んでいくものなのかなと思っています。

ーーこれまで演じてきて、そのプロセスに一番時間がかかったなど、難しかった役柄は何ですか?

細田:基本全部難しかったですね、町田くんみたいに自分が持っているような要素を持ちつつも非現実というか、「こんな人いないだろう」というキャラをやる場合は本当に作りこんで挑みました。逆に『子供はわかってあげない』で演じた門司くんは、監督の沖田さんに「ありのままの細田くんでいいよ」と言われたので、「じゃあ自分って何だ」という難しさがありました。『ドラゴン桜』の健太や『恋です!』の青野くんは実際の世の中に同じようなことを抱えている人がいるからこそ、その人たちを裏切らないように、ちゃんと届けられるよう丁寧にやらなきゃいけないという難しさもありますし。そうなってくると1つに絞れませんが、強いて挙げるなら健太や青野くんです。平均台の上を歩いているみたいに、落ちないよう、ずれないように一歩一歩、丁寧にやっていかなきゃいけない慎重さがあります。

ーー現在(※9月下旬)は『恋です!』の撮影中ですよね。

細田:はい、僕はまだ学校のシーンだけしか撮影していませんが、学校のシーンはすごく楽しいですね。みんな弱視だったり全盲なので目が合って話したりすることが基本なく、僕自身も目の焦点をずらしながらお芝居しています。それでも何か通じ合っているな、と感じる。原作を読んで、青野くんのことを僕自身がすごく好きになったし、なによりユキコ(杉咲花)と空(田辺桃子)の3人の雰囲気を大切にしていきたいと考えながらやっています。これからシーンが学校の外になったとき、白杖を使うなど芝居も難しくなっていくようにも感じていて。それでも、青野くんの持っているものや、そのシーンで何をどう見せたいのかということはぶれずに丁寧にやりつつ、楽しめたらいいなと思っています。

ーー最後に改めて『脱出カプセル』をこれから視聴する皆さんへメッセージをお願いします。

細田:イヤードラマ自体馴染みがない方も、SFという世界観で非現実的な話の連続でもあって楽しんでいただけるんじゃないかと思います。もしも残りあと3日間しかないってなったら、どういうふうになるんだろうとか。登場人物の言葉を信じやすいのか信じづらいのか。そういうところを自分ごとに置き換えてみると、また違った楽しみ方もできるかと思います。想像を働かせながら、何より楽しんで聴いてもらえたら嬉しいです。

■配信情報
『脱出カプセル』(全5話)
10月15日(金)より配信(毎週金曜新エピソード更新)
出演:細田佳央太、ボブ鈴木、宮下かな子、上村聡、笠木泉
脚本:鈴木謙一、笠木泉
ディレクター:松浦順子
プロデューサー:依田剛大
サウンドプロデュース:ステップ
音楽・効果・整音:西野公樹
サウンドコーディネート:成瀬篤志
制作:ダブ
配信先URL:https://numa.jp.net/mob/cont/contShw.php?site=NM&cd=DSE00040

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